イニエスタ擁するヴィッセル神戸が新型コロナ時代のサッカー対策準備「降格がないため攻撃的サッカーが増える」
大会方式が変わるだけではない。年内で全日程を終わらせる場合、J1リーグならば半年間で残り33試合を戦う上に、YBCルヴァンカップも加わる過密日程になる。ヴィッセルの場合は、再開の見通しが立っていないAFCチャンピオンズリーグ(ACL)にも備えなければいけない。 ACLが再開されれば、初挑戦ながら連勝発進を飾っているヴィッセルはグループリーグでジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)、広州恒大(中国)とのアウェイ戦が待つ。首位に立っているグループGを突破すれば、未知の戦いはホーム&アウェイ方式のもとでさらに続いていく。 「チャンピオンズリーグがいつ再開されるのかが、我々にとってもうひとつの大きなポイントになる。それによって試合数だけでなく、(アウェイ戦への)移動時間なども加わってくるので本当に忙しいスケジュールになる。しかも、そうしたなかで暑い夏がすぐにやってくる」 アジアの頂点を目指す戦いが加わった場合の厳しさをこう語る52歳のドイツ人指揮官は、ヴィッセルを率いてまもなく1年になる。高温多湿の気象条件が選手たちを余計に消耗させる、日本特有の夏を自らの肌で経験しているだけに、過密日程が融合された結果として生じるリスクも見越している。 「なので、本当にチーム全員、特に若い選手たちには活躍してもらわないといけない。これまで数試合しか出ていない選手でも、いきなり先発で出る可能性がある。いつでも準備ができているように心がけながら、今後の練習に励んでもらいたい」 指揮官の言葉が何を意味するのか。 中断前に行われた4試合、天皇杯覇者としてJ1王者の横浜F・マリノスにPK戦勝ちしたFUJI XEROX SUPER CUP、ACLのグループリーグ2戦、そしてホームのノエビアスタジアム神戸で横浜FCと引き分けたJ1開幕戦で、イニエスタはすべて先発している。 しかも3試合でフル出場を果たし、残るひとつも後半43分までプレーした。わずか16日間に行われた4試合にフル回転したイニエスタは、昨シーズンの序盤から拝命したキャプテンの大役を引き続き担う今シーズンの幕開けを前にして、胸躍る思いをこんな言葉に凝縮させていた。