【毎日書評】小手先の「ブランディング」では、うまくいかない本当の理由
起業してはみたものの、お客様が集まらず、なかなか売り上げが上がらない。採用もできず人が育たず、また人が辞めていく。他にも問題が次々と湧き出てくるので、成長が実感できない…。 そんな悩みを抱えている方も少なくないでしょうが、それは『読むだけブランディング』(佐藤幸憲、平岡広章 著、白夜書房)の著者のひとりである佐藤氏も同じだったようです。 起業した当初は順調だったものの成長はすぐに止まり、苦しい状態が続いたというのです。しかし、やがて「なにをやってもダメなら得意なことだけを究めてみよう」と思い立ち、得意だったマーケティングを1からやってみたのだとか。その結果、ブランディングの重要性を実感することになったのだといいます。 仮説を立てて、ブランディングに取り組んでいくと、またたく間に変化が生まれます。 次から次へと起きていた問題が少なくなり、振り回されることが減り、取り組むことが明確になり、生産性は上がり、仲間が増え、応援されるようになります。 その変化を見た友人の経営者に「やってみたい」と相談され、導入していくと同じように問題が解消され、本来のビジョンを目指す姿に変わっていきました。(「はじめに」より) 佐藤氏はそう実感するなかで共著者の平岡氏と出会うことに。氏はウェブサイトの制作を手掛ける「ラフスタイル」の代表であり、同社のブランディングをサポートする過程で本書の構想が生まれたのだそうです。 本書の提示するブランディングは商品の見せ方を変えるといった部分的なものではなく、企業全体を見直すものです。 したがって、経営的な視点で書かれているものもありますが、あくまでもブランディングという工程で必要な要素に絞って解説しています。したがって、本書を読むだけで、ブランディングの全体像がつかめるはずです。(「はじめに」より) そんな本書のなかから、きょうは序章「ブランディングは農業に似ている」に焦点を当ててみたいと思います。