【毎日書評】小手先の「ブランディング」では、うまくいかない本当の理由
ブランディングとは、物語を紡ぎ、伝えていくこと
著者によればブランディングは物語を紡ぎ、伝えていく活動。企業や商品、サービスの見せ方を考えることではなく、「創業の歴史から始まり、価値ある未来へとつなぐ、企業の物語」を1から作る作業だということです。 そして、正しく伝えていくことで物語に共感し、応援してくれる人を増やしていくのです。(19ページより) もちろん、応援者を増やすのはビジョンの実現のため。最初は小さな会社であったとしても、ブランディングとともに会社の規模が大きくなると、物語に厚みが増し、さらに魅力的になっていくことでしょう。すると、応援者が増えていくことになります。 つまりはそれを繰り返すことによって、ビジョンの実現を目指すわけです。(19ページより)
物語はさまざまなタッチポイントを通して伝わっていく
物語を伝えていく方法は、何も「うちはこんな物語を持っています!」とホームページに掲げたりすることではありません。 企業活動のさまざまなポイントに物語の断片を組み込むことで、感じ取ってもらうのです。(20ページより) ちなみに本書では企業活動を、中心となる「プロダクト(商品やサービス)」を筆頭として、「セールス」「マーケティング」「リクルーティング」「マネジメント」の5つに分けています。それらすべての活動に“物語の断片”を組み込み、感じ取ってもらうわけです。 顧客と自社をつなぐ接点をタッチポイントといいますが、企業のロゴや商品パッケージ、広告、会社説明会などはその一部。 こうしたさまざまなタッチポイントを通じて、「この会社のここが好き」「お店の雰囲気が好き」「ここで働きたい」などと感じ取ってもらうことが大切なのです。(20ページより)
だから、部分最適をしてはいけない
意識しておくべきは、「物語は一貫性のあるもの」であるというスタンスをブレさせてはいけないということ。たとえば高級ブランドの宝飾やアパレルの店舗、広告、従業員の立ち振る舞いなどはすべて、商品の価格に見合っています。 「売り上げが悪いから、デザインを変えよう」といった小手先の行動は、物語を破綻させてしまうわけです。しかし、こうした「部分最適」ではいけないのです。 ブランディングは企業戦略そのものです。部分最適ではなく、全体最適で考えていく。その結果、物語に一貫性を持たせることができます。(21ページより) そのため、時間がかかるのは当然の話。誰か、あるいはなにかに任せたとしても決してうまくいかないものなので、しっかり時間をかけるべきだということです。(21ページより)