Rare Disease Day 2024 シンポジウム「希少遺伝性疾患における理解促進」テーマに専門家と患者家族が意見交換
毎年2月の最終日「世界希少・難治性疾患の日(Rare Disease Day:RDD)」に行われる国際的な社会啓発イベントRare Disease Day 2024。その一環で「Rare Disease Day 2024 シンポジウム」(共催:武田薬品工業株式会社、RDD Japan事務局)が2024年2月8日(木)に東京で開催されました。テーマは、染色体や遺伝子の変異によって起こる、患者さんの数が非常に少ない病気「希少遺伝性疾患」の理解促進。本稿ではパネルディスカッションの概要をリポートします。
◇パネルディスカッション
希少遺伝性疾患を専門とする医師、認定遺伝カウンセラー、患者家族会代表の3人が登壇し、会場およびオンライン配信の参加者からの質問に答えつつディスカッションを行いました。 ・村山圭先生(順天堂大学大学院医学研究科難治性疾患診断・治療学講座 教授) ・武田恵利さん(名古屋市立大学大学院医学研究科臨床遺伝医療部 特任助教 認定遺伝カウンセラー) ・柏木明子さん(有機酸・脂肪酸代謝異常症の患者家族会「ひだまりたんぽぽ」代表) *パネルディスカッション進行:西村由希子さん(RDD Japan 事務局)
◇インターネット上の情報と上手に付き合うには
西村さん: 希少遺伝性疾患の患者さんを取り巻く環境が時代とともに変化するなか、患者・家族はどのように情報と向き合い、医療者と関わっていくとよいのでしょうか。 武田さん: 遺伝カウンセリングに来られた方からは「同じ病気の患者さんやご家族とつながりたい」「体験談を知りたい」と仰る方もいます。患者さんのSNSやブログの情報を見ると生活の様子をイメージしやすいでしょう。しかし、一人ひとり症状や状況は異なるため、その情報が全ての方に当てはまるわけではありません。同じ病気を持つ患者さんの1つの例としてとらえていただきたいと思います。 柏木さん: ご自身でインターネット上の情報を検索したり、SNSの投稿を読んだりすることは構わないと思います。しかし、病気の症状や状況には個人差があるので、検索して出てきた情報を全て鵜呑みにすることは危険です。その点については、主治医の先生や認定遺伝カウンセラーの方からしっかりと伝えていただけたらと思います。 村山先生: インターネット上には正しい情報もそうでない情報もあります。私は率直に、患者さんに「ネットに何か書いてありましたか?」とたずねることもあります。患者さんが抱えている悩みや疑問を共有いただいたうえで「その情報の一部は正しいけれど、私はこう思います」「この情報は見解が分かれます」とオープンに話し合える関係を築くことが大事なのだと思います。 認定遺伝カウンセラーだけでなく遺伝看護専門看護師のように、遺伝に関して深い知識や理解を持った専門家がいます。私たち医療者も理解を深めていくことが大切と考えます。