Rare Disease Day 2024 シンポジウム「希少遺伝性疾患における理解促進」テーマに専門家と患者家族が意見交換
◇オンラインで専門家とつながれる仕組み
西村さん: 遺伝カウンセリングをオンラインや電話でも受けられれば、遠方にお住まいの方などにとって希望になると思います。このような取り組みは進んでいるのでしょうか。 武田さん: オンラインで実施している施設は徐々に増えてきています。今後、病院でもICT(情報通信技術)の活用がさらに進み、普及していくことを期待しています。 柏木さん: 専門の医師が全国に数人しかいない病気もあります。身近な地域内で解決することは難しい場合が多いので、患者とその家族にとってはオンラインで専門家と気軽につながれる仕組みが整えばとてもありがたいです。
◇希少遺伝性疾患の患者家族ができること
西村さん: 希少疾患では患者数そのものが少なく、専門医も限られています。患者さんやご家族はどのような行動を起こしていけばよいと考えられますか。 柏木さん: 私は病気についてもっと深く理解したいときは、専門的で難しい論文でもまず自分で読んでみて、主治医の先生に1行ずつ質問して解説してもらうことから始めました。利用できる制度についてはソーシャルワーカーの方に教えてもらいました。制度も変化していくので、一度調べた時には対象外だったけれどその後使えるようになったものもあります。常にアンテナを張って、諦めずこまめに情報を探す行動は大事なのかもしれません。
◇最後に
柏木さん: 誰もがインターネットで情報を検索する時代になりました。それによって、希少遺伝性疾患の病名から画一的なイメージを持たれて、判断されてしまうことがよくあると聞きます。この機会にぜひ知っていただきたいのは、同じ病名であっても個人差が大きいということです。そして、病名だけを見て怖がらないでほしいと思います。 武田さん: 希少遺伝性疾患と診断された後、遺伝に関する偏見やネガティブなイメージからつらい気持ちを抱えてしまう方もいます。病気の有無にかかわらず、全ての方が生きやすい社会になるよう社会全体で考えていくことが重要かと思います。 村山先生: 私は小児科医として希少疾患の診療や新生児のスクリーニングに長く携わってきました。早期に病気を発見して診断、治療につなげていくことはとても大切です。しかし、医療者にできることは限られているので、一人ひとり、社会全体が子どもたちを育てていくという意識を持っていくことが何よりも大事だと思います。