Rare Disease Day 2024 シンポジウム「希少遺伝性疾患における理解促進」テーマに専門家と患者家族が意見交換
◇認定遺伝カウンセラーの今後の展望
西村さん: 認定遺伝カウンセラーの数は今後も増えていくのでしょうか。 武田さん: 遺伝子検査が少しずつ一般診療の中で行われるようになってきたこともあり、認定遺伝カウンセラーの需要は高まってきています。養成専門課程を新設する大学院も増えてきました。今後、雇用体制や遺伝カウンセリングを行う体制などの課題が解決されることで、さらに増員につながるのではと期待しています。 西村さん: 遺伝カウンセリングが普及していくなかで改善すべき点はありますか。 武田さん: 単に認定遺伝カウンセラーの人数を増やすだけでなく、質を担保していくことも大事です。遺伝リテラシーが高く、患者さんとご家族に真摯に対応できる方に志していただきたいと思っています。また、現在遺伝カウンセリングは基本的に一部を除き自費診療で行われているのですが、今後は費用面からも受けやすい環境が整うとよいと思います。
◇医療提供体制の地域格差
西村さん: 地域によって医療提供体制が異なる現状があります。今後は、全ての都道府県で同じような医療サービスを受けられるようになるのでしょうか。 村山先生: 病気の種類によって異なると思います。たとえば、2018年から行ってきた拡大新生児スクリーニング*の取り組みは、近年少しずつ認知が広まってきました。しっかりとデータを蓄積して公表し、問題点も挙げながら進めていくことが、全国的な格差の是正につながっていくと思います。 *拡大新生児スクリーニング:現行の新生児マススクリーニング(先天性代謝異常等検査)よりも検査対象を拡大して行うもの。 西村さん: 拡大新生児スクリーニングの対象疾患はどのような基準で選ばれるのでしょうか。 村山先生: 現行の新生児マススクリーニングは、厚生労働省の通知に基づき自治体が主体となって実施されています。拡大新生児スクリーニングは、新生児マススクリーニングの対象になっていない疾患を検査するものです。 疾患の選定にあたっては、検査の精度、診断された後に適切な治療を受けることによって予後が大幅に改善するか、それらにかかる費用、受け入れ可能な専門医や施設の有無などを考慮して、総合的に判断されています。