レーサーレプリカの元祖? XSR900GPの登場でさらに熱い「カフェレーサー」とは?
一方、それをベースに、カフェレーサー的スタイルにしたのが、Z900RSカフェ。Z900RSと同様にバーハンドルを装備しますが、ベースのZ900RSがアップライトなポジションになる高めのタイプなのに対し、Z900RSカフェでは、より前傾姿勢となる低いタイプを採用。また、フロントカウルやシングル風の専用シートなど、先に述べたカフェレーサーの特徴を採り入れた装備を持つことが特徴です。 つまり、Z900RSカフェは、メーカーが施したZ900RSのカスタム仕様だといえます。ヤマハのXSR900GPの場合も、バーハンドルやカウルレスのXSR900をベースに、カウリングやセパレートハンドルを装備したメーカー製カスタム仕様であることは同様です。 XSR900GPは、いわゆるカフェレーサー的なロケットカウルこそ装備していません。でも、成り立ちなどを考えれば、十分に同じジャンルに属するといえます。オマージュしたレーシングマシンの年代が、従来の1960年代や1970年代から1980年代にシフトしただけで、カフェレーサーの方程式に則っていることは間違いないからです。
レーサーレプリカの元祖であるワケ
カフェレーサーは、レーシングマシンがお手本という意味でいえば、前述した通り、1980年代半ばから1990年代前半に大流行したレーサーレプリカや、現代のスーパースポーツに近い存在だといえます。 もちろん、昔のカフェレーサーはメーカー製でなく、あくまでユーザーがカスタムしたバイクでした。でも、WGPなど世界のレースで活躍したマシンのスタイルをオマージュしている点は同じ。しかも、そのスタイルを、2輪メーカーが積極的に取り入れ、市販車として販売している点も似ています。 そうした観点からみれば、カフェレーサーは、レーサーレプリカやスーパースポーツの先駆け、もしくは元祖的な存在だといえるでしょう。 カフェレーサーは、ほかにも、例えば、トライアンフの「スピードトリプル1200RR」や「スラクストンRS」、ロイヤルエンフィールドの「コンチネンタルGT650」など、海外メーカーでも、近年ライアップを強化しています(残念ながらスラクストンRSは、2024年で生産終了ですが)。 ともあれ、魅力的なモデルがひしめくカフェレーサーのジャンル。排気量も、前述の通り、125ccの原付二種や250ccの軽二輪といった小排気量モデルから、1200ccのビッグバイクまでランアップされ、幅広いライダーが楽しめることも魅力です。 クラシカルなスタイルだけでなく、ワインディングなどでスポーティな走りも求めるユーザーには、とても気になるジャンルのひとつではないでしょうか。
平塚直樹