レーサーレプリカの元祖? XSR900GPの登場でさらに熱い「カフェレーサー」とは?
カウル付きとなしがあるワケ
そんなルーツを持つのがカフェレーサーというスタイル。当時の主な改造は、例えば、ハンドルをセパレートタイプやフラットなバータイプなど、低く幅が狭い仕様にし、ステップを後方にするバックステップなども装着。 また、シートも車体後方に座れるようなシングルタイプにするなどで、上体を伏せるライディングポジションになるようにしていました。 そんなカフェレーサーにカウルなしが多いのは、当時、ほとんどのバイクがカウルレスだったから。今でいうネイキッドのスポーティ版的なスタイルも多かったようです。 ですが、なかにはオリジナルのフロントカウルを装着するカスタムバイクもあり、こちらも人気だったようです。 そして、そうしたフロントカウルについても、当時のレーシングマシンを模倣した流線型のデザインが主流。ホーク11が採用するようなカウルですね。先端が突き出て丸味を帯びた形状がロケットに似ているからでしょう、先述したロケットカウルという愛称で呼ばれるようになりました。 つまり、現代のカフェレーサーにフロントカウル付きとなしがあるのは、実際に、当時、どちらの仕様もカフェレーサーと呼ばれていたからなのです。
ネイキッドとの違い
その後、こうしたカスタムスタイルは、北米や日本などへも波及し、数多くのカスタムビルダーがオリジナルのマシンを製作。世界的に波及し、カフェレーサーというスタイルが確立されます。 そして、そうした流行をキャッチした国内外のバイクメーカーでも、カフェレーサーのスタイルを採り入れた市販車をリリース。国産車でも、例えば、1983年に登場したホンダ「GB250クラブマン」などがそれにあたります。 さらに、2000年代に入ると、クラシカルなスタイルに現代的なテイストを融合させた「ネオクラシック」というスタイルが大流行。往年の名車をイメージした様々なタイプの市販車が登場します。 その流れのなかで、カフェレーサーも、ネオクラシックというジャンルの中でも、特にスポーティな雰囲気を備えたスタイルとして人気を博し、現在のように市販車でも豊富なラインアップを誇るようになったのです。 このように、カフェレーサーは、元々カスタムバイクが発祥。レトロな雰囲気を持つという点では共通点もある、いわゆるネイキッドと呼ばれるモデルとは成り立ちなどが異なります。 例えば、カワサキの「Z900RS」。2017年の発売以来、大型バイクのなかでも特に大きな支持を受けている大ヒットモデルですが、そのルーツは1972年に登場した900ccモデル「900スーパー4」、通称「Z1」です。ティアドロップタイプの燃料タンクやテールカウルなどを採用することで、Z1のスタイルを現代に蘇らせているのがZ900RSだといえます。