5か月の屈辱…挫折を味わった欧州挑戦 実体験で厳しさを知ったから分かる“欧州組の凄さ”【インタビュー】
海外組の精神面の強さ「あんなところでプレーできないですよ」
「それぐらい勝ちに飢えているんだなってすごい思いました。今、やっぱりヨーロッパで戦える人たちって、全員そうだと思います。じゃなきゃ、あんなところでプレーできないですよ。ただサッカーが上手いだけじゃなくて、活躍できる人たちは相当の準備とコミュニケーション、メンタルの部分が本当にすごいんだなと思います。当時のダメだった自分を考えると、全然違うなって思います」 それだけの海外組を抱える時代になり、日本サッカー界のレベルは「かなり上がっている」と太田氏は言う。「中田英寿さんや小野伸二さん、中村俊輔さんといった人たちが時代を築き上げてくれて、いま三笘選手や久保選手がすごく活躍している。自分は残念ながらその一員にはなれなかったですけど、そういった人たちがいるからこそ今、日本が世界を見えるようになっている」。先駆者たちが道を切り開いていってくれたから、いまの日本サッカーの発展がある。 日本代表はこれまでワールドカップでベスト16の壁に跳ね返されてきた。日本にとって悲願の8強進出は「絶対に不可能じゃない」と太田氏は言い切る。「ベスト8と言わず、もっともっと上にいけると思います。僕はそこで活躍した選手じゃないんで偉そうなことは言えないですけど、あの世界であれだけの活躍ができるというのは相当強い選手たちだと思います」。実際に味わったからこそ分かる欧州組の凄さ。これだけのタレントが揃っていれば、W杯での躍進も夢ではないだろう。 “過去最強”の日本代表がいるからこそ、願うのはサッカー人気のより一層の拡大だ。爆発的に人気が高まるキッカケの1つとして挙げるのが、野球界の大谷翔平選手のような、老若男女問わず注目する“スーパースター”の登場。「全体的なレベルはものすごく上がっているんで、その中でもズバ抜けた選手、クリスティアーノ・ロナウド選手やリオネル・メッシ選手みたいな、バロンドールが獲れるくらいの選手が出てきてほしい。そうなれば、日本サッカーももっともっと変わると思います」と期待する。と、同時に、太田氏はメディアをはじめとするサッカーを取り巻く環境の変化の必要性を説いた。(次回に続く) [プロフィール] 太田吉彰(おおた・よしあき)/1983年6月11日生まれ、静岡県出身。ジュビロ磐田ユース―磐田―仙台―磐田。J1通算310試合36得点、J2通算39試合4得点。トップ下やFW、サイドハーフなど攻撃的なポジションをマルチにこなす鉄人として活躍した。2007年にはイビチャ・オシム監督が指揮する日本代表にも選出。2019年限りで現役を引退し、現在はサッカー指導者として子どもたちに自身の経験を伝える活動をしている。
福谷佑介 / Yusuke Fukutani