中日・高橋宏斗&阪神・才木浩人はなぜ急成長を遂げたのか? 与田剛が徹底解説
熾烈な最多勝争いを繰り広げているセ・リーグの投手たちだが、なかでも成長著しいのが高橋宏斗(中日)と才木浩人(阪神)のふたりだ。ここまで(8月18日現在)高橋は、菅野智之(巨人)の11勝に次ぐ10勝を挙げ、才木も9勝(リーグ4位タイ)、防御率1.67(リーグ3位)の好成績をマーク。はたして、彼らの好調の要因はどこにあるのか。元中日の監督を務め、現在は解説者の与田剛氏に話を聞いた。 【写真】阪神タイガース「TigersGirls」2024年全メンバー(17人)甲子園球場で撮り下ろし! 【高橋宏斗のあくなき探求心】 ふたりの好調さの要因として挙げられるのは、高橋は左右、才木は高低のコントロールのブレがなくなったというのが一番です。以前は、ストライクを取りにいったところがボールになり、カウントを悪くして甘く入ったところを痛打されるというケースがありましたが、今季はそこが大幅に改善されました。 とはいえ、これは目で見てわかることにすぎません。大事なことは、なぜ改善されたかということです。もちろん、技術面でも挙げるポイントはありますが、私が注目しているポイントは"意識"です。 たとえば高橋は、昨年からずっとフォームの改善に取り組んできました。尊敬している山本由伸(ドジャース)を意識したフォームにチャレンジしていた時もありました。ただ、なかなかうまくいかなかった。 キャンプではフォームが変わってしまって、もとに戻す、戻さないで首脳陣とコミュニケーションが取れていないのでは......といった話を聞いたこともありました。でも本人は、常に向上心を持ち続け、粘り強く自分に合ったフォームを模索し続けていたのだと思います。 これは投手に限った話ではありません。選手というのは、いつも「もっとうまくなりたい」と考えて時間を過ごしています。オフでもシーズン中でも、毎日です。 その過程で手応えをつかむこともあるし、迷うこともあります。そのなかで大事なことは、たとえ結果が出ないからといってすぐにやめたり、変えたりすること。何が正しいかなんて、それこそ簡単に結論が出るものじゃありません。フォーム修正にしても、ある投手に適したことがほかの投手に当てはまるとは限りません。人それぞれ骨格、筋力、みんな違いますからね。