『脳外科医 竹田くん』モデル・松井宏樹医師がついに起訴…報じられなかった「その後の足取り」と、勤め先病院の「驚くべき見解」
手術やカテーテル治療で失敗を繰り返す外科医の姿をリアルに描き、話題となったマンガ『脳外科医 竹田くん』。その「モデル」とされる医師の松井宏樹被告(46歳)が12月27日、業務上過失傷害の罪で在宅起訴された。 【時系列で一覧】松井被告の関与が疑われる「医療事件」の全容 松井被告は、2019年7月から2021年8月まで兵庫県赤穂市にある赤穂市民病院の脳神経外科に勤務し、着任から半年あまりで8件の医療事故に関与。そのうち、脊柱管狭窄症の手術を受け、ドリルに神経を巻き込まれて下半身が不自由になったAさん(女性・当時74歳)とその家族が、松井被告を刑事告訴していた。 「週刊現代」「現代ビジネス」では2024年春以降、松井被告の治療・執刀を受けた患者やその家族、病院関係者への取材を続けてきた。 前編【あの『脳外科医 竹田くん』モデル医師、ついに「実名顔出し報道」へ…!「ドリルで神経を切断された」患者家族が明かす「手術前の異様な言動」】に続いて、事件の詳細を報じる。
刃先に神経が絡みつき…
Aさんの手術では松井被告が主に執刀し、ベテランのB医師が助手を務める予定だった。ところが手術が始まったとたん、松井被告は「この手術は初めてなので自信がない」などと言い出した。そのため、2ヵ所あった患部のひとつをまずB医師が執刀して手本を見せ、松井被告に引き継いだという。 それからほどなく、悲劇は起きた。松井被告がドリルで骨を切削していたとき、刃が脊髄の一部を巻き込んでしまったのだ。手術中の記録映像には、刃先に白っぽい神経が絡みつく痛ましいようすが映っていた。 Aさんの娘は本誌の取材に、こう語った。 「手術は昼すぎには終わると聞かされていましたが、ミスの処理のためか、母が病棟へ戻ってきたのは19時半すぎでした。病院側から、何が起きているのか説明は全くありませんでした」
「障害は手術とは関係ない」
手術を終えて出てきた松井被告は憔悴し、Aさんの娘にこう説明した。 「手術中に問題が起こりました。ドリルの先端が硬膜(脊髄を覆う膜)に当たってしまい、神経が飛び出したので、もとに戻したのです。現段階では神経が切れたかどうか、後遺障害が残るかどうかわかりません」 手術の後、Aさんは両足に重度の麻痺が残り、自力での排尿・排便も難しくなったほか、断続的に続く神経性の激痛にも苦しめられるようになってしまった。 しかしその後、松井被告はAさんや家族に対して「リハビリをすればよくなる可能性はある」などと説明。その一方で、手術に関する病院内の説明会では「もともとかなり(Aさんの)神経が傷んでいたわけだから、(障害を負ったのは)手術とは関係ない」などと、自身の過失を否定するようなことを口にしていたという。 Aさんとその家族が、松井被告に対して決定的な違和感を抱いたのは、手術から3ヵ月あまりが経った2020年5月初めのことだった。松井被告が「うちの看護師には、面倒な患者(Aさんのこと)の世話をさせて申し訳ないと思っている。早く退院してほしいという気持ちもある」と言い放ったというのだ。
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