関係者から性暴力なぜ起きる 未成年アイドルが身を守る方法とは
悪い誘いから逃れる 信頼できる相談相手作れるか
では未成年が身を守るにはどうすれば良いのでしょうか? Aさんは説明します。 「スカウトされた場合ならもらった名刺を調べる。今はネットで情報が出てきますから、その事務所に所属している人が売れているとかであれば、リスクを低減出来ます。実態がわからないところには絶対ついて行ってはいけません」 もちろん大手だから有名だから100%安心出来るとは限りませんが、少しでもリスクを低く抑える工夫は必要ということでしょう。ではすでに所属しているアイドルは、どうやって身の安全を図ればよいのでしょうか。 「グループアイドルなら、他の子は近隣でグッズの写真を撮っているのに自分だけ遠方だとか。そんな贔屓があれば本人も気づきますよね。警戒すべき状況になったとき、信頼できる相談相手を作っておくことが大事です」 とはいえ悪い誘いをしてくるのがマネージャーだとしたら、一番の相談相手に相談出来ないことになります。 「私の知るケースでは、同事務所の他のタレントに相談して、そのタレントのマネージャーを通し社長に話が上がって、問題のマネージャーが解雇されたことがありました。逆恨みが怖いのはあると思いますが、信頼のおける相談相手を作っておくことは大事です」 しかし芸能界は孤独な世界。相談相手がいない場合はどうすればよいのでしょう。 「やはり最後に守るのは親御さんです。親御さんには常に活動の状況を報告しておく。難しいのは、親御さんがあまり表に出て来すぎるとマネージメントとしてはやりづらくなります。なのでマネージメントというよりは『今何が起こっているの?』とかいうことを親御さんが聞いてあげる、見守りみたいな関係性が理想的です」 日頃から親とのコミュニケーションは密にし、いざという時には迷わず頼ることが大事とのことです。
マネージャーとタレントの関係は紙一重の面も
また、Aさんはマネージャーなど近しい関係者とタレントの間でこうしたケースが起きやすいことについて、特有の事情を話してくれました。 「タレントとマネージャーは紙一重なところがあるんです。『タレントに恋してるんじゃないの?』みたいな向き合い方をしているマネージャーを何人も見てきたのですが、でもそのぐらいじゃないと売れないよねっていうのも正直あるんです。ただお給料をいただいてそれで働くっていう以上の気持ちがないと頑張ることが難しいのは事実です。タレントと言っても他人ですから、他人のお世話をするのはしんどいことなので。そんな中で思い入れを持つという時点で、ちょっと違う感情が出てきてしまうのはありがちなことかなと。だからと言ってタレントに手を出していい理由にはならないし、正当化は出来ませんが」 そこできちんと線を引いて自制できることが、本当の大人でありプロフェッショナルということなのでしょう。 冒頭の染井さんは力を込めてこう言います。 「これだけは声を大にして言っておきたいですが、汚い大人に従ったところで芸能界で成功することはありません」 (取材・文:志和浩司)