南海トラフ周辺で地震6回 「特段の変化なし」も引き続き備えを
気象庁は、南海トラフでの巨大地震発生の可能性を評価する定例の検討会を開き、先月は、巨大地震に影響を与えるような目立った地震活動はなく、「特段の変化は観測されなかった」とする見解をまとめました。 気象庁は、今後30年以内の発生確率が70%から80%とされる南海トラフ巨大地震について、専門家による定例の評価検討会を開き、想定震源域でおきた地震や観測データの分析を行いました。 気象庁によりますと、先月1日から今月5日までの期間に南海トラフ巨大地震の想定震源域とその周辺ではマグニチュード3.5以上の地震が6回発生したということです。 ▼先月1日 紀伊水道を震源とするマグニチュード4.9の地震 最大震度3(和歌山県と徳島県) ▼先月10日 土佐湾を震源とするマグニチュード4.3の地震 最大震度3(高知県) ▼先月12日 東海道南方沖を震源とするマグニチュード4.5の地震 最大震度1 ▼今月1日 日向灘を震源とするマグニチュード3.6の地震 最大震度1 この4つの地震はいずれもフィリピン海プレートの「内部」でおきた地震で、南海トラフ巨大地震で想定されるプレート境界の地震とはメカニズムが異なるということです。 ▼先月27日 日向灘を震源とするマグニチュード3.8の地震がフィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生 最大震度1 ▼今月4日 伊豆半島東方沖を震源とするマグニチュード3.9の地震がフィリピン海プレートの地殻内で発生 最大震度3(静岡県) この2つは地震の規模が小さく、検討会は、いずれも南海トラフ巨大地震に大きな影響はないとして「特に目立った地震活動ではない」と評価しました。 一方、静岡県御前崎などで長期的に観測されている地盤の沈降はフィリピン海プレートの沈み込みに伴うもので、その傾向に大きな変化はないとしています。 検討会は、こうした観測結果を総合的に判断し、南海トラフ周辺で「特段の変化は観測されなかった」とする見解をまとめました。 評価検討会の会長で東京大学の平田直名誉教授は、南海トラフ巨大地震をひきおこすフィリピン海プレートの固着状態が変化したというデータはないものの、巨大地震が非常に高い確率でおきることに変わりはないため、引き続き、強い揺れと津波への備えに努めてほしいと話しています。