ノリス、飛躍の年で得た経験を糧に。「フェルスタッペンとのバトルを楽しめる人はいないよ!」
マクラーレンのランド・ノリスは、F1最終戦アブダビGPで素晴らしい走りを披露して優勝。マクラーレンにコンストラクターズタイトルをもたらした。 【動画】20年でF1マシンはどれだけ変わった? レッドブル、2005年RB1と2024年RB20を雨のシルバーストンで走行比較 シーズンを通して、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)と何度も激しい争いを繰り広げたノリスだが、アブダビGPでフェルスタッペンと文字通り衝突したのは、チームメイトのオスカー・ピアストリの方だった。 ピアストリとフェルスタッペンは2番手を争い、スタート直後のターン1で接触。このインシデントではフェルスタッペンに非があるとされ、10秒のタイム加算ペナルティが科された。 最後尾まで落ちながら10位でフィニッシュしたピアストリは、アクシデントの直後に「ワールドチャンピオンの動きだ」と皮肉を込めたコメントを残している。 ノリスはレース後、この出来事についてシンプルにピアストリが「超アンラッキーだった」とメディアに語った。 「どのような状態であれ、マックスとの対決は常にトリッキーなモノになる。それに、マックスとレースをして楽しい時間を過ごせる人はいないよ」 そう語った言葉には、シーズンを通してフェルスタッペンとバトルをし、タイトルを争ったノリスの苦労が透けて見えた。 フェルスタッペンとノリスは今季まで、サーキット内外で仲の良い友人だったが、ドライバーズチャンピオンを争った今季はふたりの関係が緊迫したものとなった。 フェルスタッペンの悪名高いとも言える攻撃的な走りは、ノリスにとって試練であり苦難だったが、彼はその厳しい戦いから最も多くを学んだとも感じている。 フェルスタッペンがタイトル獲得を決めたラスベガスGPで、ノリスはフェルスタッペンとタイトル争いをできたことを誇りに思うと語った。 「僕たちが成し遂げたことを誇りに思うよ。F1での初勝利も、最初の3勝もね。他に誰も彼(フェルスタッペン)とタイトルを争っていないんだ。それが僕であること、マクラーレンであることを誇りに思う」 「もっとうまくやれたかもしれない? もちろんだ。完璧なシーズンだったとしてもチャンピオンになれたと思う? そうは思わない。だから2位でフィニッシュできてうれしいよ」 アブダビでシーズンを振り返ったノリスは、「今シーズンは、個人的なパフォーマンスとしては最高のシーズンだった」とも語っている。 「それは十分だったか? いや、おそらく十分ではなかっただろう。でも例えば自分のパフォーマンスで見ると、昨年のおよそ2倍は良かっただろう。特に、まったく同じマシンに乗っている他のドライバーたちと比べてもね」 ノリスはピアストリがいなくなったあとも、冷静に、完璧にアブダビGPを走り抜き、マクラーレンの戴冠に必要な勝利を持ち帰った。まさにチャンピオンの走りだったと言っていいだろう。 厳しいシーズンを戦いきったノリスは、初めての優勝を記録し、初めてタイトル争いを経験した。そして初めてのコンストラクターズタイトル獲得を果たし、ドライバーとして一回り大きく成長した。今シーズンは序盤にフェルスタッペンが作った貯金で逃げ切られてしまったが、来季は開幕戦から「自分はチャンピオンを狙えるドライバーだ」と自負して戦うことができる。 2025年は、現行規則で争われる最後のシーズンとなる。大きな飛躍を遂げたノリスに、マクラーレンが競争力のあるマシンを提供できれば、ノリスは間違いなくチャンピオン候補のひとりになるはずだ。
Anthony Wood