高齢の母の「介護」が必要になりました。介護休暇は「年5日」まで、介護休業制度も“使い勝手”が良くないように感じます。なにか良い方法はないのでしょうか…?
介護休業や介護休暇の日数が少ないと感じている人もいるでしょう。確かに自分だけで両親の介護をする休業・休暇と考えれば不十分に感じますが、これらの制度は介護サービスの手続きをして介護の体制を構築したり、ケアマネジャーと打ち合わせたり、といったことも想定されており、実は仕事と介護の両立支援制度は充実したものになっています。 最近の法改正も含めてわかりやすく説明します。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
介護離職が深刻な問題になっている
高齢者人口の増加とともに、介護が必要な人の数は増加しています。介護を担う人の多くは働き盛りの世代です。介護は育児と異なり突発的に問題が発生する上、介護の期間・方策も多種多様で、仕事と介護の両立が困難となることも考えられます。 総務省が実施した2022年の調査では、介護・看護のために過去1年間に離職した人は10万6000人にのぼります。 厚生労働省の介護離職ゼロポータルサイトによると、介護離職の理由として「仕事と介護の両立が難しい職場だった」「自身の心身の健康状態が悪化した」というものもありますが、中には「介護サービスの存在・内容を十分に知らなかった」というものも見受けられます。 一方、介護者(介護をしている人)629万人のうち、365万人が仕事をしています。ただし、状況次第で介護離職をする予備群になっている人もいると考えられます。仕事と介護の両立支援策を十分に把握し、有効に活用することが望まれます。
仕事と介護の両立のために様々な支援策が用意されている
仕事と介護の両立支援策は手厚く、最近の法改正でさらに充実しています。2025年4月から施行される介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の全体像は図表1を参照してください。 図表1
厚生労働省 令和6年改正育児・介護休業法の概要
制度の対象者の要件
介護休業の対象者は「要介護状態の対象家族を介護する男女の労働者」(日々雇用は除く)とされています。正社員のみでなく有期雇用労働者も一定の要件を満たせば対象です。要件の概要は以下の通りです。 ■要介護状態の対象家族 対象家族は、負傷、疾病または身体上・精神上の障害で、2週間以上常時介護(歩行、排泄、食事等の日常生活に必要な便宜を供与すること)を必要とする状態にある家族です。その家族の範囲は、本人の「配偶者(内縁含む)」「父母(養父母含む)」「子(養子含む)」「配偶者の父母(養父母含む)」「祖父母」「兄弟姉妹」「孫」です。 ■有期雇用労働者(契約社員など)も対象 契約社員など有期雇用労働者も対象です。ただし、介護休業開始予定日から約9ヶ月の間に労働契約の満了が決まっている人は対象になりません。