たしかに納得せざるをえない…なんと「この地球のすべてが取り込まれている」フライトシミュレータの、じつは「予想外だったユーザー」
空港やヘリポートのデータも
「衛星写真などからデータを作ることもあるが、同時に、世界中にあるオープンなデータも活用している」とニューマン氏はいう。 そこで使われているのが、オープンな地図作成プロジェクトである「OpenStreetMap」だ。そこから地形や街の情報を得て、さらに衛星写真などから補完しつつ、データを作成しているという。 そして、データを作るうえで重要なのは、地形や建物だけではない。たとえば空港やヘリポートなど、フライトシミュレータには欠かせない設備の位置や詳細も、世界中のものを手に入れて組み込む必要が出てくる。そこでは関係機関とも連携し、開発チームがデータのまとめ直しをおこなったという。 「今回は、世界中すべてのヘリポートとすべてのグライダー空港についてのデータベースを作成しました。これは2024年版のために作ったものですが、そのままオープンなコミュニティに対して共有していきます。 なにか大きなことを成し遂げるためには、こうしたコミュニティと連携して進めることが、最も強力な方法だと考えています。世界中の専門家チームと共同で、フライトシミュレータを作っていけるわけですから」(ニューマン氏)
予想外のユーザー
「地球すべてをフライトシミュレータのためにデータ化する」「地球のデジタルツインを作る」という狙いがあってこそ、Microsoft Flight Simulatorはユーザーを納得させるリアリティを築きえた。 その結果、このソフトをプレイする人たちにも大きな変化が生まれたという。 「2020年版の公開後、最初の2年間で1200万人がプレイしました。それがどんな人たちだったのかを調査すると、面白いことが見えてきたんです。300万人は、我々が『プロユーザー』とよぶ、航空機が好きな人たち。次の300万人がいわゆるゲーマーでした。 そしてなんと、残りの600万人は『デジタルツーリスト』だったんですよ」(ニューマン氏) ニューマン氏のいうデジタルツーリストとは、Microsoft Flight Simulatorの中で、都市や風景を楽しむ人たちだ。彼らは必ずしも、飛行機ファンやゲーマーというわけではなく、文字どおり、デジタル世界で旅行を楽しむ人を指している。 Microsoft Flight Simulatorのユーザーのじつに半数を、デジタルツーリストが占めていた事実に気づいた開発チームは当然、彼らのニーズを「よりよく満たす」ことを考えたという。 具体的にどう変えたのか。