筑波大学附属駒場中学校の入試問題の特徴を科目ごとに徹底解明!【中学入試分析2024年】
筑波大学附属駒場中学校は、「挑戦・創造・貢献」をキーワードに、協調性やリーダーシップに富んだ人材育成を目指します。今回は、筑波大学附属駒場中学校の2024年度入試問題を教科ごとに分析していきます。 【グラフ】主要塾の筑波大学附属駒場中学校の合格者推移を見てみる
筑波大学附属駒場中学校について
東大合格率の抜群の高さで知られる国立の超難関校。筑波大学の附属校として「自由闊達」の校風のもと、挑戦し、創造し、社会に貢献できる人間教育を目指しています。決して詰め込み教育や特別な受験指導を実施しているわけではなく、生徒自身が非常に高い学習意欲と探求心にあふれた資質を持っているのも特徴でしょう。 自己肯定感の高い優秀な生徒たちは、クラブ活動、生徒会活動、学校行事においても生徒主導で運営し、「筑駒文化祭」への取り組みは並々ならぬほどの熱量で毎年盛り上がります。 また、各種大会やコンクールへの参加も積極的で、科学の甲子園ジュニア全国大会や国際化学オリンピック、国際物理オリンピック、日本数学オリンピックをはじめ、囲碁・将棋、パソコン甲子園で好成績を上げているほか、卓球やバドミントン、陸上競技、水泳、ハンドボールなどの運動部でも個人・団体で結果を出し続けています。こうした各分野での活躍を通じて、先輩・後輩の絆が強いことも筑駒の魅力です。(松井誠:TOMAS教務企画局 教務本部)
筑波大学附属駒場中学校の入試分析
国語の入試分析 傾向:柔軟な思考力と的確な表現力を 説明的文章・物語・詩の3題構成が定番。本文はどれも短いが設問が全て記述式で3~4問。40分の試験時間で深い読解を求められる問題ばかりで、最高レベルの難問。正確な読解力はもちろん、柔軟で深い思考力と的確で迅速な表現力が試される。高い集中を維持し、粘り強い態度で問題に取り組まねばならない。 出題:融合された物語と詩 大問3題構成は変わらないが、物語と詩が融合して1題となり、1題は慣用句1つを清書するものになった。詩の難解さについては、物語の文脈を活かせる分、いくらか解き易くなった。慣用句と比較的容易な説明文で得点を確保し、融合問題では半分以上の部分点を目指すことが合格への道となる。 対策:本質をとらえ要約する力が鍵になる 本校国語攻略の鍵は2つ。3種の文章で10問程度の記述問題を40分で解き終える処理能力と、問題を咀嚼し要求される解答を1~2行の短文で、かつ自分の言葉で書ききる表現力である。日常の問題演習において、常に結論から述べる練習や、比喩・あいまいな感情・感覚を明瞭に言語化する練習を積み上げていこう。本校必出の詩の対策においても、具体化・言語化の練習が有効である。一朝一夕にはできないので、日々練習あるのみ。 読解問題 頻出テーマ ベスト3:1位 文化と学問 2位 人としてどう生きるか 3位 友人 算数の入試分析 傾向:高いハードル 筑駒ワールド 大問4題構成で試験時間は40分。場合の数・数の性質・規則性・平面図形・立体図形・点の移動からの出題頻度が高い。各大問とも前半の設定は基本的なので、絶対に落とせない。後半は誘導に上手く乗る・難問は一旦見送る・適切なタイミングでの検算等、戦略を駆使し、効率よく時間を点数に変えたい。 出題:本年度も良質な問題 本年は純粋な場合の数・規則性の出題はなかった。大問1は数の性質。書いて調べる必要があった。大問2はサイコロの並べ方を考える問題。大問3は正六角形上を動く点を頂点とする三角形の面積についての問題。大問4は水そうにおもりを入れた時の水位の問題だった。各大問とも後半で差がついたものと思われる。 対策:厳しい時間の制約 本校の試験の厳しさは試験時間が40分と短いところに尽きる。本来であればじっくり取り組みたいような内容を短時間勝負の舞台に持ってきている感がある。これに対応するには計算速度・処理能力・知識・テクニック等をとことん磨き、その上で手を動かす練習を徹底して判断をためらわない体質を身につけることが望ましい。主に過去問演習で、書き出す際のスペースの利用の仕方、解答順、取捨選択のコツ等を自分のものにしたい。 算数 頻出テーマ ベスト3:1位 場合の数・条件整理 2位 数の性質・規則性 3位 速さ 社会の入試分析 傾向:知識中心の手ごわい問題 例年大問3題構成で、地理・歴史・公民各分野から出題(融合問題の場合もある)。大問の初めにリード文があるが、その内容も後の設問で問われるため、読み飛ばしはできない。形式は選択肢問題が中心で、「正しくないものを二つ選べ」「正しいものをすべて選べ」など、あいまいな理解を許さない設問形式になっている。 出題:例年通りのハードな問題 昨年は大問で分野分けがされていなかったが、本年は地理・歴史・公民の順に分野分けされた。内容的には相変わらず選択肢問題が難しく、正解の確信が持てないままどんどん解き進めることになる。1問出題された記述問題は、リード文の内容をまとめるだけで難しくはない。 対策:徹底した知識へのこだわりを 社会も算・国と同配点なので、手抜きは一切できない。問題は本校特有のやっかいな選択肢問題をいかに克服するかにある。正解肢を複数選ばせる問題は、正確な知識と理解を受験生に求めている。普段の学習では疑問点はそのまま放置せず、すぐにその場で解決してメモしておくなどの地道な努力が必要である。過去問のみならず、学校別模試、やや難しい選択肢問題を出題する他校の問題などの演習も欠かせない。 社会 頻出テーマ ベスト3:1位 中世・近世(鎌倉~江戸) 2位 近代・現代(明治~令和) 3位 日本地理(農林水産業) 理科の入試分析 傾向:教科書内容だが油断は禁物 4~6年生の教科書記載内容から出題される。「自然科学」として身近なことをテーマとする問題が多く、一般的によく知られている事実や常識が問われることも多い。また、力学は毎年よく練られた問題が出題され、難問となることもあるので要注意。問題数が多く、いかに効率よく問題を処理するかが合否を分ける。 出題:物理・化学がやや多め 年度により大問数は前後するが、本年度は大問6題構成。物理2題(力学の計算・電流回路)、化学1題(水溶液の性質とその分類)、地学1題(気象・地質に関する小問集合)、生物2題(血液の循環と血中酸素濃度、観察した生物に関する小問集合)。本年度も力学の計算は面倒。地学の小問は定番化か。 対策:教科書を完璧にし、計算力を鍛える 出題は教科書に記載されている内容からである。まずは隅から隅まで完璧にしておきたい。単なる暗記としてではなく、理解したうえでの記憶とすること。他校に比べ記号問題の比重が高いが、決して楽ではない。選択肢がわざわざ選びにくい構成にされているので、選ぶのではなくきちんと答えられるようにしておく。また、面倒な計算も多く出されるので素早く正確な計算ができるように計算力も鍛えておきたい。 理科 頻出テーマ ベスト3:1位 てこ・滑車・輪軸 2位 豆電球・回路 3位 植物のつくりとはたらき 編集協力=福崎剛・フリーライター
リソー教育・TOMAS教務本部