肉じゃがの肉、関西では牛肉、関東では豚肉? 牛肉をもっとも食べているのは京都市
◆内臓肉は、関西は牛ホルモン、関東は豚もつ 肉と同様に内臓も関東は豚、関西は牛です。 たとえば、東京にたくさんある「焼きとん」は、もともと関西にはありませんでした(関西では焼き鳥が主流。近年、関東風の焼きとん店が急増中)。 関東では「豚のもつ煮」や「豚もつ焼き」、関西では「牛ホルモン焼き」「牛ホルモン鍋」が一般的。関西の煮込みに使われているのは、ホルモンではなく牛すじです。 「ホルモン」という呼び名は、もともと捨てるものということで、大阪弁の「捨てる」を意味する「放る」からきたと言われています。つまり、捨てるもの→放るもん→ホルモン。(諸説あります)
◆なぜ、関西は牛、関東は豚なのか? 食肉文化の歴史を調べてみたところ、日本で肉食が広まったのは明治時代。 関西では農耕に使われていた牛を食用にしたことから、牛肉文化が根付いていきました。 一方、人口が多かった関東では、牛肉の供給が追いつかず、成長が早く、残飯処理役として普及していた豚が食用にされるようになり、大正時代には関東一帯に養豚ブームが到来。豚肉文化が根付いていったようです。 「牛肉は豚肉より値段が高いから、食にこだわる関西人は牛肉をよく食べるのか?」と、一瞬思いましたが、根付いた食文化を脈々と受け継いできた結果なのだということがわかりました。 ちなみに、沖縄はもともとは牛肉が主流でしたが、琉球政府が牛肉や馬肉を食べることを禁じたことで豚肉が主流になり、「鳴き声以外は全部食べる」と言われるほど、大事に食されてきました。沖縄では肉のことを「しし」と言い、それは豚肉を指すそうです。
藤岡操