病におかされた50代独身会社員、自宅マンションに引き取った高齢母に病状告白も、打ち返された「まさかの暴言」に絶句
50代独身女性、足腰の弱った母を自宅マンションへ
かつては自宅で家族ぐるみで行っていた介護だが、近年では、共働き家庭の増加、単身世帯の増加もあり、簡単ではない。 厚生労働省『令和4年国民生活基礎調査』によると、主な介護者が「ほとんど終日介護にあたったいる」という割合は、「要介護1」では11.8%だが、「要介護2」は17.0%、「要介護3」は31.9%、「要介護4」は41.2%、「要介護5」は63.1%…と、介護度が重くなるほど、負担も重くなる。 横浜市在住の50代の佐藤さん(仮名)は、同じく横浜市内の実家から自宅マンションに引き取った、80代の母親について頭を痛めていた。 「私は兄と2人きょうだいなのですが、兄は奥さんの家族と同居しています。そのため、母の面倒は妹の私が見ているのですが…」 佐藤さんは独身の会社員で、自分で購入した1LDKのマンションに暮らしている。 「母はいまのところ、内臓は健康なのですが、年齢相応に足腰が弱ってきていて、段差の多い築古の一軒家にひとり暮らしをさせておくのが心配になってきました。同じ市内とはいえ、私も働きながら介護に通うのは大変なので、うちに引き取ったのです」
妹からの病気の告白を突き放した兄
ところが、想定外の事態が起こった。会社の人間ドックで、佐藤さんにがんが見つかったのだ。 「手術が必要ということで、バタバタと手術の日程が組まれました。仕事をどうしよう、母の介護をどうしよう…と、いろいろな心配や不安が押し寄せてきました」 佐藤さんも、この時ばかりは自宅に母親を引き取ったことを後悔したという。 「ひとり静かに考える時間がほしかったのですが、むずかしい状況でした」 帰宅すると、テレビで見た内容をとめどなく話し続け、リアクションを求める母親に耐え切れず、佐藤さんは頭を冷やすため、サイフと携帯電話をもって外に出ると、兄に電話をかけた。 「母を引き取ってすぐに私の手術が決まって…。まさか会社で相談なんてできないし、だれかと話して落ち着きたかったのですが…」 佐藤さんの兄は「ああ、そう。大変だね。役に立てなくてごめんね」「でも、お母さんのことよろしくね」とだけいうと、話も聞かずにそそくさと電話を切ってしまった。 「そのあと、どうしても部屋に戻る気になれず、カフェでずっとひとり、コーヒーを飲んでいました」