船旅とグルメも満喫できる山旅へ! 瀬戸内海に浮かぶ「小豆島」の名景を楽しむ山上ハイキング
ブルーノ・タウトが絶賛した世界でも屈指の美しい海、瀬戸内海。そして瀬戸内海国立公園の中心部に位置するのが小豆島です。太古の火山活動で形成された地質は急峻で、島の大きさは瀬戸内海で2番目ですが、瀬戸内海で一番高い山である「星ヶ城山(ほしがじょうさん)」をはじめ、迫力ある山や岩峰が屹立。険しい地形はリアス式の美しい海岸線を形成し、変化にとんだ景観が楽しめる島となっています。気候は温暖で、晴れの日が多く、地中海に似た気候であることからオリーブの栽培が盛ん。島全体が外国のリゾート地のような雰囲気です。 【写真】小豆島の山上ハイキングの魅力をチェックする(全10枚)
神戸から快適な船旅で島を目指す
小豆島へは高松、岡山、姫路などから船便があります。新幹線や高速艇を乗り継げば早く行くこともできるのですが、神戸港から直行のフェリーがあって、その航路がとても景色が美しいので、のんびり船旅を楽しみながら行くことにしました。神戸港から「ジャンボフェリー」に乗って西へ。神戸の街並みと六甲山を眺めながら、まずは明石海峡をくぐります。全長3,911m、主塔の高さは298m。「パールブリッジ」の愛称がありますが、青い海と青い空に映える白が印象的な美しい橋です。 朝8時過ぎに神戸港を出港。約3時間の船旅です。新造船「あおい」は、船内にうどんコーナーがあって、小豆島特産のオリーブや、レモンなどをあしらったうどんがいただけます。この日食べたのは「島うどん」。小豆島特産の醬油を使った、しょうゆせんべいがトッピングされています。初めはパリッとしているせんべいが、あっという間にうどん出汁を吸って、じゅわっとした独特の食感に。もちもちの麺との組み合わせは、くせになる美味しさです。 船内はけっこう広くて、展望足湯や展望風呂もあります。島の特産品を使ったジェラートを食べたり、島の焙煎所が提供しているコーヒーを飲みながら景色を見たり、お楽しみが満載であっという間でした。
上陸後はお弁当屋さん経由で山上へ
福田港から山へ向かう道の途中で、ランチをゲットするためにちょっと寄り道。小豆島の食材にこだわったお惣菜やお弁当を作っている「小豆島惣菜店」です。和洋いろんなお惣菜がショーケースに並んでいて、カウンター席でワインと共にいただけるみたいなのですが、登山前なのでぐっとガマン。小豆島の海の幸や野菜などを使った、8種類ものおかずが入ったお弁当を買っていくことにしました。せっかくのお弁当が中でごっちゃにならないように、そっとバックパックの一番上に乗せて、山上の駐車場からハイクアップ開始。 元々冬場は晴れることが多い小豆島ですが、この日もきれいな晴天で、まさに小春日和でした。紅葉もそろそろ始まっている感じで、暦の上ではもう冬なんだけど、さわやかな秋山の趣き。あちこちから海が見えるのも島山の魅力です。 星ヶ城山は、島のやや東寄りに位置し、西側には紅葉で有名な寒霞渓(かんかけい)があります。山麓から登ると3時間くらいかかるのですが、寒霞渓の駐車場からだと、片道1時間程度。標高600mあたりからのスタートなので、お気楽ハイキングで行けます。筆者は観てないのですが、〝酒場詩人〟吉田類さんが各地の低山を旅するNHK番組『にっぽん100低山』で、2024年11月22日にこの山が紹介されたと地元の方が教えてくれました。 星ヶ城山の南斜面は、火山活動によって形成された急峻な崖なのですが、山頂付近はなだらかな地形で、心地よい森林浴が楽しめます。星ヶ城山には山頂がふたつ。標高817mの東峰、805mの西峰で、それぞれ山頂に神社が祀られています。 『古事記』によると、伊邪那岐命と伊邪那美命が国生みをしたとき、大八州(淡路島、四国、隠岐島、九州、壱岐島、対馬、佐渡島、本州)に続いて六つの島を生みますが、二番目に作られたのが「小豆島(あづきじま)」。その祖神を祀っているのが阿豆枳島(あずきしま)神社です。 東峰では、神社の東側に海が見えるビュースポットがあります。ちょっとした広場になっていて、休憩適地でもあります。ちょうどお昼どきでもあり、小豆島惣菜店で買ってきたお弁当をいただくことに。景色を眺めつつ、彩り豊かなお惣菜に舌鼓を打ちます。島の恵み、美味しいなぁ。 この日はよく晴れて景色がよく、はるか遠くに鳴門海峡と大鳴門橋も見えていました。 大鳴門橋遠望 島旅の初日は、のんびり船旅とグルメ、そしてのどかな山上ハイキングを楽しみました。明日はちょっと冒険的なコースにチャレンジしますよ。
根岸真理