映画ライターの2024年海外ドラマ私的ベスト5!「自分や社会と向き合う時間をくれる、そして文句なく面白い!」良作をピックアップ
『SHOGUN 将軍』や『THE PENGUIN-ザ・ペンギン-』など、今年も話題作が続いた海外ドラマ。もちろん、世間で大きく注目される作品を観て友人たちと盛り上がるのも楽しみのひとつです。ただ、自宅で連続ドラマを観るということはとてもプライベートな行為であり、そのぶん、自分自身の考えや感情と向き合える時間なのかもしれません。 【動画】美しい映像も見どころ、きっと本編を観たくなる!「2024年海外ドラマベスト5」全5作品の予告 というわけで、今年もごく個人的な海外ドラマ・ベスト5を紹介します。
第5位『シュリンキング:悩めるセラピスト』シーズン2
近年、男性のセルフケアの問題について語られていることが増えていますが、このドラマもそうしたテーマを取り上げています。中高年の男性がどのように内側に抱えた痛みや傷を吐き出せるか。本作はそれを、あくまでもカジュアルなコメディとして描くのです。 主人公はセラピストのジミー(ジェイソン・シーゲル)。セラピストとして患者の悩みを聴く立場でありながら、妻を事故で亡くし、自分自身の悲しみにうまく対処することができていません。そのことで娘との関係も行きづまっています。そこでジミーは、患者を救うことが自分のためにもなると考え、大胆なセラピーを試みます。そのことで、恩師で同僚のポール(ハリソン・フォード)をはじめ、隣人や友人たちの関係に変化が起きていきます。 一部で「ナイスコア」とも呼ばれる人びとの交流の温かさやハートウォーミングなストーリーを描く作品がここのところ人気ですが、『シュリンキング』もそのひとつと言えるかもしれません。ここで掲げられているのは、悩みや痛みを周囲のひとと分かち合うことの大切さというごく当たり前のことですが、案外、現代人があまりできていないことなのかもしれません。主人公がセラピストというのも、「プロ」として他人の悩みを聴く職業ということで、巧い設定です。そんな彼らも、自分の悩みには上手に対処できないのです。 シーズン2は、ジミーの妻が亡くなる事故を起こしたルイス(ブレット・ゴールドスタイン)の登場が見どころ。彼もまた、自分の犯した過ちとどう折り合いをつけるべきか悩む中年男性です。自己開示の難しさと尊さ――そんなものを描くこのコメディ作品、ぜひ身近なひとと観てほしい作品です。シーズン3の制作も決定しています。
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