出産後すぐに職場復帰できないなら辞めるしかない? 妊娠したら知っておきたい法律の話
「出産後も同じ職場で働き続けたいと思っているのに、職場の理解が得られずにやめざるを得ない」、「出産や育児を理由に退職をせまられた」...。 こんなことは許されるのでしょうか? 【マンガ】突然の妊娠がわかったら(石山さやか) 働く人は、妊娠・出産・育児について法によって守られています。働きながら子どもを産んだり育てたりする制度は何があるでしょうか。 働きながら母になる女性を応援する法律の話を、中央大学法学部教授の遠藤研一郎著『マンガでわかる! わたしの味方になる法律の話』から紹介します。 ※本稿は、遠藤研一郎著『マンガでわかる! わたしの味方になる法律の話』(大和書房)から一部抜粋・編集したものです。
働きながら、子どもを産んだり育てたりする制度って?
突然ですが、みなさんは、女性が第一子を出産したのをきっかけに仕事をやめる割合(第一子出産離職率)って、どれくらいだと思いますか? 平成27年時点(第一子出生年が平成22~26年の統計)で、46.9%となっています(国立社会保障・人口問題研究所しらべ)(※1)。 みなさんは、この数字をどのようにとらえますか? きっと、人それぞれ感じ方はちがうと思います。 では、みなさんご自身は、出産後における仕事との向き合い方について、どのように考えますか? これも、それぞれですよね。「一度会社をやめて、育児に専念したい」と思う方、「会社はやめずに育児と両立していきたい」と思う方、「育児は夫に任せて、私がバリバリ働きたい」と思う方、いろいろいらっしゃると想像します。 これは、自分の描く家族像やライフスタイルの話ですから、どのような価値観も尊重されるべきです。 でも、出産後も同じ職場で働き続けたいと思う女性がいるのに、職場の理解が得られずにやめざるを得ない現実があるのだとすれば、それは、すごく残念なことです。 (※1)第一子出産離職率につき、2018年~2022年の数値では、30%程度に減少しています。 スミカさん、会社からひどいことをいわれていますね。 出産や育児を理由に退職をせまるなんて、許されるのでしょうか? もし許されるのだとすれば、働いている女性は、安心して子どもを産むことができなくなってしまいます。 たしかに、会社によっては、休まれたときの代わりの働き手の確保がむずかしい、などの事情を抱えているところもあるかもしれません。 でも、これからの社会を考えたとき、出産と向き合う女性へのきめ細やかな対応が必要なのも事実です。 法律上では、たとえば「労働基準法」、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保に関する法律(男女雇用機会均等法)」、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)」など、いろんな法律によって、働きながら母になる女性を応援しています。 妊娠・出産・育児のそれぞれのステージを順番に見ていきましょう。