ホンダ社長が語る「2040年脱エンジン」の行程表、「ならでは」の魅力的なBEVを実現できるか
全高は他社平均と較べて10%以上低く、オーバーハングもやはり10%短くするという。LGエナジーソリューションと共同で開発する超薄型バッテリーパックや、新開発の小型e-アクスルによって、これを実現する。 車重を自社BEV比で約100kg軽くするとも公言された。具現化する技術として挙げられたのは、新型パワーユニットの軽量・薄型化、そして衝突コントロールである。F1技術を活用したとされる高効率パワーユニットと空力技術により電費性能を高め、航続距離は300マイル(約480km)以上を目指すという。
「例えばBEVのSUVはすでに沢山走っています。それは作れると思いますが、それじゃ価値観が他社と変わらない、差別化ができない。ホンダのBEVを買う意味がないだろうという議論を経て、ゼロシリーズができました」(三部) 単なるコンセプトの提示ではなく、それを実現できる技術的な裏付けがそろったところで発表になったというゼロシリーズ。目をひくのは300マイル以上という航続距離だ。今の他社動向からすると、控えめな数字である。
「BEVの車重を減らしたいと思っていて。バッテリーを沢山積む方向はやめたい。400マイルだって沢山積めばできるんですけど、われわれは逆で行く。コストを下げたいというより、やっぱBEVってクルマが重過ぎるんですよ。直線ではむしろ非常に軽く感じるほどですが、曲がるとやっぱりわかりますよね」(三部) 高効率であることはもちろん走りにもこだわる。これもホンダならではという話に繋がるところだろう。 「BEVのエネルギー変換効率の高さを活かした電費の追求。その結果として搭載するバッテリーの量が減り、軽量化にも繋がっていくと考えると、重要なのはやはり電動としての基本の部分をどれだけよくするか。それが今一番、力を入れているところです」(青山)
■まずはクルマの基本素性を高める 内燃エンジンのないBEVは走りの差別化が難しいとよく言われる。それに対しては、まず軽く、重心が低く、空力に優れるといったクルマとしての基本素性を高める。それは効率性にも効いてくる。 「BEVという文脈だけで見ると差別化要素は若干減りますが、車体や運動性能といった今のクルマが持っている技術的な要素は(現行販売モデルから)受け継がれていくので、そこもきちんと入れていくということですね」(青山)