「彼らを止めなければ」韓国軍兵士の銃をつかんで立ち向かった女性が、当時の心境を振り返る
韓国で3日夜発生した戒厳令騒動の際、国会議事堂に侵入を試みた戒厳軍兵士の銃をつかんで、果敢に立ち向かった女性の姿が世界に配信された。この女性、野党「共に民主党」の広報アン・グィリョンさんがロイターの取材に応じ、「私が先に銃をつかんだのではない。ただ彼らを止めなければならないという思いだった」と当時の心境を振り返った。 兵士の銃の銃身をつかんだアンさんの映像は世界中に配信され、強権支配を試みた尹錫悦政権に抵抗する民衆の象徴となった。 アンさんは野党「共に民主党」の広報で、韓国国会に侵入する戒厳軍兵士を止めようとした1人だった。 野党「共に民主党」広報 アン・グィリョンさん 「私が先に銃をつかんだのではない。戒厳軍を阻止しようとしてもみあいになった。誰かが私の腕を掴み、何かが私の体に当たったのだと思う。だから戒厳軍を止めようとはしたが、意図的に銃をつかんだのではない。ただ彼らを止めなければならないという思いだった。彼らを押しのけ、振り払い、できることはすべてやった」 尹大統領が今週発令した戒厳令は、権力の強化、政治活動の禁止、メディアの検閲を目的としていた。しかし国会議員190人が戒厳軍に抵抗して、全会一致で戒厳令の無効を法案を議決。尹氏は戒厳令を解除せざるを得なくなった。 人々は議会の周囲に人間の鎖を作って戒厳令に抗議し、国会内に侵入した兵士たちに消火器を噴射した。 「私より勇敢に、戒厳軍に立ち向かった人はたくさんいた。軍と警察の妨害で国会議事堂に入れなかった市民や、外で装甲車を阻止した人もいた。だから私の行動が特別だったとは思わないし、映像がこれほど注目を集めるとは思っていなかった」(アンさん) 戒厳軍司令官は5日、国民に対して銃器を使用する意図はなかったと述べた。また同国の国防次官は、部隊に実弾は支給されていなかったと述べた。 韓国の野党議員らは今週末、大統領の弾劾投票を行う予定だ。戒厳令発令は市民の怒りを引き起こしたほか、同盟国からの懸念を招いた。警察は、尹氏と閣僚らを反逆行為の疑いで捜査を開始したと発表した。