「言動が派手で人情味に厚い社長」がいる会社は潰れる…今すぐ逃げ出すべき「倒産寸前企業」チェックリスト
■「倒産社長」は大きな理想を語りがち 当社が企業の信用調査をする際には、経営者のタイプ(人物像)も判断材料のひとつにしています。その中で倒産企業の経営者に共通する資質として「数字に弱い」ことが挙げられます。経営者の中には、自社の決算書を十分に理解していない人もいます。経営者が自社の決算書を細部まで理解する必要はありませんが、キャッシュフローは把握していなければなりません。「手元にどのくらいのお金があるか」をしっかり理解しておく必要があるのです。企業はたとえ債務超過に陥っていても、「入ってくるお金」と「出ていくお金」の管理がしっかりできていれば、倒産しません。言い換えれば、潰れない会社の経営者の第一の特徴は「キャッシュフローをしっかり押さえている」といえます。 言動が派手で、大きい話が好きな経営者も会社を潰します。私たちが企業訪問をした際、経営者から売り上げ目標を聞くことがあります。しかし、期日が到来しても、目標を達成できていないケースも少なくありません。経営者の「理想と現実」にギャップがありすぎることが原因ですが、理想ばかりを追い求め、現実を直視できていない経営者は会社を潰すのです。 人情味に厚い経営者も要注意です。経営者は時には不採算部署の整理や社員のリストラの必要性に迫られます。人情味に厚いことが災いして経営改革への着手が遅れ、倒産に至ることもあります。 また、一見、仕事に関係なさそうなプライベートの行動にも倒産の兆候が隠れています。後ほど紹介する倒産事例のCASE1の社長のように、夜の店で豪遊したり別荘を買ったりと羽振りのいい経営者には、会社のお金を使い込んでいるケースもあるのです。「8つの倒産思考」の図表のとおり、ほかにもいくつかの「倒産思考」がありますので注意です。 ■説明力と情熱が会社を成長させる では、どんな経営者であれば企業を発展させることができるのでしょうか。 成功する企業の経営者にはわかりやすい共通点がありませんが、あえて挙げるとすれば、企業の規模に合わせて組織を柔軟に変えることができることでしょうか。一般的に売り上げ規模が10億円程度までであれば、経営者の目が隅々まで行き届きます。問題が起きれば、すぐに解決可能です。しかし、それ以上の規模になると、従業員や事業所の数も多くなり、目が行き届かない部分も出てきます。その結果、経営者には都合のいい報告しか上がってこなくなる可能性があります。 典型的な悪い例が、旧ビッグモーターです。これは推測ですが、現場で不正が行われていることに社長は気づいていなかったのかもしれません。経営者の目が届かない規模に成長したら、どんな組織が必要かを考えて、適材適所に人を置き、不正をさせない仕組みをつくることが重要です。そのためには従業員教育もしっかり実施しなければなりません。人を育てる、人使いが上手であることも、企業を成長させる経営者に必要な資質といえるでしょう。 一方で、しっかりとしたビジョンがある、PDCAがしっかり回っている、決算数字の根拠を理路整然と説明できるといったことも経営者に必要な資質です。売り上げや利益が上がった理由、下がった理由を問われたときに、明確な説明ができなければ、経営者失格です。経営者にはビジョンや目標を言葉にして語る力も必要ですし、単に夢を語るだけでなく、冷静に説明する力も必要です。説明力と情熱の2つを兼ね備えた経営者であれば、従業員も「よし頑張ろう」と思ってくれるはずです。それが成長の原動力となります。 冷静に説明する力は、資金調達にも役立ちます。金融機関が融資するかどうかを判断する際には、経営者の本気度を見ています。会社のお金で遊んでいるような経営者には貸さないのは当然ですが、真面目に仕事をしている経営者であっても「この計画ではお金を出せません」ということもあります。そのときにしっかり手を差し伸べてもらえるだけの説得力が大事なのです。