「言動が派手で人情味に厚い社長」がいる会社は潰れる…今すぐ逃げ出すべき「倒産寸前企業」チェックリスト
会社を成長させる経営者と、潰してしまう経営者の頭の中は、どのような違いがあるのだろうか。企業信用調査のプロとして数々の社長のデータを持つ帝国データバンクに聞いた。 【図表をみる】こんなトップの会社は泥船だ! 8つの倒産思考 ■コロナ支援の終了で企業倒産が急増 2022年後半から企業の倒産件数が急増しています。大きな要因のひとつに政府のコロナ支援が終了したことがあります。コロナ禍の20~21年は、休業補償や雇用調整助成金などの手厚い給付がありました。そのおかげで資金繰りに行き詰まる企業は少なく、倒産件数は大幅に減少しました。しかし、22年3月以降は支援がほぼなくなると同時に円安と物価高が企業の収益を圧迫するようになりました。企業は資金繰りが難しくなったうえに、収益性が悪化し、倒産が急増したのです。 実際の倒産件数を見ると、コロナ禍前の19年は8354件でしたが、コロナ禍となった20年に7809件、21年は6015件まで減少しています。ところが、政府の支援が一段落した22年には6376件と若干増え、23年には8497件まで一気に増加しています。さらに24年は1~6月の半年間で4887件発生し、前年同期比22%の増加となっています。 倒産企業を業種別に見ると、最も多いのがサービス業で24年1~6月の倒産件数は1228件でした。これは全体の25.1%を占めており、倒産企業の4社に1社がサービス業だったことになります。そして小売業の1029件(21.1%)、建設業の917件(18.8%)と続きました。飲食店は小売業に含まれます。これらの業種は政府の資金繰り支援をより手厚く受けていました。その支援がなくなり、事業の継続が難しくなった小規模の企業が多いといえます。 この傾向はしばらく収まりそうにありません。いま倒産している企業には、小規模で収益改善が進んでおらず、借り入れ過多となっているところが多いからです。負債額でいえば5000万円未満の企業の倒産が約6割を占めています。こうした企業に勤めている従業員は、賃上げがほぼ見込めません。世の中は人手不足が深刻になっていますから、給料の安い企業から高い企業に人材が移動します。その結果、収益改善の進んでいない企業は、ますます営業能力が低下し、破綻(はたん)に追い込まれるでしょう。 中小・零細企業が倒産に追い込まれるのは、産業のピラミッド構造にも原因があります。上場会社の24年3月期(通期)あるいは25年3月期第1四半期の決算を見ると、過去最高益を達成したところが数多くあります。そうした企業は、自社の利益を先取りしつつ、残った予算で下請けに発注するわけです。価格決定権を持つ大手がピラミッドの頂点にいて、利益の多くを吸い上げてしまうので、ピラミッドの底辺にいる中小・零細企業には十分な利益が行き渡らない構造になっているのです。こうした構造的な問題も中小・零細企業の倒産と大きく関わっていますが、実際に倒産するかどうかは経営者の資質にも大きく左右されることになります。