【使いこなし編】第222回:Synology「BeeStation」を外付けHDDのバックアップから復元する
本連載では、Synologyのパーソナルクラウド「BeeStation」の活用を、第185回から実践している。本製品はNASの一種だが、インターネット経由で外部からも簡単にアクセスできるのが特徴で、「パーソナルクラウド」の呼び名は、その特徴にちなんでいる。 【画像】今回はBeeStationに保存していた任意のデータ、またはデータ全体を、バックアップファイルから復元してみる 前回まで、BeeStation内のデータを外付けHDDにバックアップした。初回のバックアップを実行後は、設定したスケジュールにあわせて定期的に自動実行されているはずだ。新しくファイルが変更されたり保存されたりしたら、その都度変更が定期的に自動更新されている。 これは前回も確認したが、[ログ]で確認もできる。もちろん、BeeStationと外付けディスクの電源は常にオンにしておく必要がある。 ■ BeeStationのバックアップから必要なデータを取り出す このバックアップファイルは、主にBeeStationが故障したときに利用することになる。もしくは、間違えて更新したり削除したりしたファイルを、履歴からたどって復元する目的でも利用できる。 修復不能な故障が発生したときには、新たに買い直したBeeStationに、旧BeeStationのバックアップを復元することも可能だ。しかし、BeeStationの復元はあきらめて、大事なデータだけ取り戻せればいい、というケースもあるだろう。急なトラブル発生時には、まずデータを取り戻すことが最優先で、環境の復元は後で行えばいい、となることが多いはずだ。 バックアップファイルは、効率を重視した特殊なファイル形式になっていて、PCでそのまま操作することはできない。このバックアップ機能は、Synology「Hyper Backup」というもので、BeeStation以外の同社のNASシリーズとも共通となっている。 このバックアップファイルは、Synology「Hyper Backup Explorer」と呼ばれるツールを使うことで、ファイルを操作できるようになる。無償で利用できるWindowsとmacOS用のアプリケーションが用意されているので、こちらのリンクからダウンロードしよう。 インストールの操作は不要で、WindowsもmacOSも、ダウンロードしたファイルを展開して、実行ファイルを実行すればいい(Windowsは「HyperBackupExplorer.exe」を、macOSは「HyperBackupExplorer.app」をアプリケーションフォルダにコピーしてからダブルクリックする)。操作はどちらも同じだ。 バックアップからデータを取り出す作業をするPCに、バックアップファイルが保存されている外付けストレージを接続する。実際の復元作業ではなく、とりあえずバックアップファイルを見てみたいだけなら、BeeStationに外部ディスクを接続したまま、ローカルアカウントでアクセスしてみてもいいだろう。 バックアップファイルは、ストレージ内に作られた「(BeeStation名)_(初回バックアップ日付)_(初回バックアップ時刻).hbk」というフォルダに、「SynologyHyperBackup.bkpi」というファイル名で保存されていて、これを読み込むことでバックアップファイルが操作できるようになる。このファイル自体は容量が小さいので、ちゃんとバックアップされているか不安になるかもしれないが、実態となるデータ群は「Pool」フォルダなどに分割して保存されているので安心してほしい。 Hyper Backup Explorerでバックアップを開いたら、「homes」フォルダ内にアカウントごとのフォルダで保存されているので、自分のアカウントのフォルダを開く。「Files」がBeeFiles用で、「Photos」がBeePhotoesのフォルダになっている。復元したいフォルダもしくはファイルを右クリックして、「コピー先」を選択し、保存するフォルダを指定すればそこにファイルが復元され、保存される。 Hyper Backup Explorerの画面左下にあるカレンダーアイコン、もしくは左矢印をクリックすると、時系列をさかのぼることもできる。下部中央に表示されているのが、現在表示中の日時になる。この機能は、最新ではない過去のバージョンを取り戻したい場合に利用するといい。どのくらいまでの期間さかのぼることができるかは、バックアップ時の設定による。ある程度古いバージョンは削除されていくので、無限にさかのぼれるワケではない。 この機能をより活用したければ、バックアップスケジュールの設定はいつでも変更できるので、バージョンを多めに設定しておくといいだろう。システムの設定の[バックアップと復元]から設定する。ただし増やせばその分だけバックアップ用のディスクを消費するので、注意してほしい。 ■ 新しいBeeStationに旧BeeStationのデータを復元する 新しく用意したBeeStationに古いBeeStationのデータを復元したい場合には、新BeeStation側のシステムの設定の[バックアップと復元]から[復元]をクリックして開始する。もちろん、バックアップファイルが保存された外部デストレージをBeeStationに接続しておく必要がある。 復元が完了すると一時的にポータルとのリンクが切れるので、再度ポータルにて、[BeeStationを追加]から追加しておけばこれまでどおり利用できる。通常だと1台目の初回セットアップになるので、自動でBeeStationの追加ウィザードが開始するはずだ。 追加の手順は初回の実践とまったく同じだ。追加時に必要なシリアルナンバーは底面にある。固定したIPアドレスとローカルアカウントの情報は同じ情報が設定されているが、オフになっているので必要に応じてオンにしてパスワードを再設定しておく。 以前に設定したユーザーへの招待リンクは無効になるので、必要に応じて再度招待リンクを作成する必要がある。また、バックアップも再度設定する必要があるので、忘れずに設定しておこう。 最後にBeePhotosとBeeFilesに再ログインして、ファイルが無事でこれまでどおり利用できることを確認しておこう。 今回のようにバックアップさえとっておけば、ディスクのトラブル時も慌てずにファイルを取り出すことができ、時間はかかるが完全にもとの状態に復元することができる。 長く続いたBeeStationの実践は、今回でいったん完了だ。かなり幅広く網羅的に実践したので、さまざまな目的で活用できることと思う。連載で行った実践全てを行う必要はなく、使いやすそうだと感じるところから試してみて便利さを実感してもらうのが一番だ。手軽に各種クラウドストレージと同じような感覚で使えるので、ぜひスマホを中心に使ってみてほしい。 もっといろいろなことを実現したくなったら、Synologyの通常NASシリーズを導入してみてもいいだろう。いずれ機会があれば、この連載でもそちらを扱ってみたいと思う。 ■ 今回の教訓(ポイント) 「Hyper Backup Explorer」で、バックアップからデータ復元できる 新しいBeeStationへのデータの復元もシステムの設定から可能
INTERNET Watch,村上 俊一
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