黒ニンニクの成分「SAC」の効果…疲労研究のパイオニア「エビデンスあり」とお墨付き【2025年は疲労知らずで過ごしたい】
「疲労は、痛み、発熱とならぶ3大生体アラームの1つ」と言うのは、疲労の分子神経メカニズム研究の先駆者である渡辺恭良氏(日本疲労学会理事長、神戸大学大学院特命教授)だ。 疲労の謎がここまで分かった(3)なぜ軽い運動が疲労を減少させるのか…酵素の産生を増やす 仕事や運動による急性疲労であれば少しの休憩や一晩の睡眠で回復する。不規則な食生活や睡眠不足、ストレス過多などによる数日間から1週間ほど続く亜急性疲労も、積極的な疲労対策で回復可能。しかし休まずそのまま突っ走り過ぎると慢性疲労となり、自律神経系活動が乱れ、放置するとさまざまな病気へと移行する。 渡辺氏は30年以上にわたる研究から、精神性、運動性などの疲労の原因に関係なく、あらゆる疲労に、エネルギー生産の過程で生じる副産物、活性酸素が関係しているとみている。 「通常、活性酸素は細胞内の抗酸化物質で還元処理されますが、オーバーワークになると活性酸素の量が過剰となり、還元処理が追いつかず、細胞が傷害されます。老化やさらなるオーバーワークでさまざまな細胞傷害が起こると、それを免疫細胞が感知し、いわゆる『炎症』を起こし、炎症時に血液中に放出される伝播物質サイトカインを介して脳に『ここに問題がある』と知らせます。それを私たちは疲労と感じ、慢性的にサイトカインが発せられる場合は、慢性的倦怠感、意欲低下、慢性疼痛、持続性の微熱などに至るのです」 疲労を和らげ、回復を早めるには何が有効か? 渡辺氏らは疲労の度合いを客観的・主観的に計測する指標を多数開発し、ヒトでの臨床試験をはじめ疲労モデル動物を用いた効能試験も実施。一般的に疲労回復に良いといわれるものが、エビデンス(科学的根拠)をもって本当にそう言えるのか評価し、論文や一般書としても発表している。 その「抗疲労効果のエビデンスあり」のお墨付きを得たものは何十種類にも及ぶ。その1つが、ニンニクを発酵させて作る黒ニンニクに多く含まれる「S-アリル-L-システイン(SAC)」だ。SACは抗酸化作用、抗炎症作用のほか、神経保護作用、肥満抑制・抗糖尿病作用などにも優れている。SACについて研究を行う日本大学薬学部薬理学研究室の小菅康弘教授は「SACの脳疲労感軽減効果はヒト試験でも証明されている。また慢性炎症は、酸化ストレスや小胞体ストレスに相互作用して増悪する負のスパイラルを引き起こすが、SACがそれを断ち切る可能性がある」と指摘。 ■抗疲労は抗老化につながる 渡辺氏が言う。 「SACは、疲労で増加する炎症性免疫物質の上昇を抑え、疲労感と疲労により起こるパフォーマンス低下の双方に効果がある理想的な抗疲労・疲労回復食品成分です。『疲労』と『老化』のメカニズムについては、時間経過の違いこそあれ、ほぼ同じような問題が体内で起こっていることが最近判明し、非常に注目を浴びているので、毎日の皆さんの『抗疲労』努力が『抗老化』にも大いに効果が期待できることを最もお伝えしたいところです」 疲れ知らずで、若さ維持ができれば言うことがない。