大学卒業後に女子選手の競技者数が激減。Wリーグ・吉田亜沙美が2度の引退で気づいたこと「今しかできないことを大切に」
現役選手へのメッセージ「今しかできないことを大切にしてほしい」
――結婚・出産をしても続けられる環境づくりは、スポーツ界全体で整えていきたいですよね。 吉田:そうですね。私の年代は「結婚したら競技をやめなければいけない」とか、「現役中は結婚できない」と考える選手もいたと思うのですが、今は時代も変わって、いろいろな考え方や選択ができる時代になったと思います。自分の人生ですから結婚したいタイミングで結婚すればいいと思うし、「子供を産みたいけど、まだバスケットもしたい」という葛藤もあるとは思いますが、人それぞれ、その年その年で「今しかできないこと」があると思いますから。そこはちゃんと自分と向き合って考えて決断してほしいなと思います。 ――吉田選手は2度目の引退後に東京医療保健大学でアシスタントコーチをされていたので指導者としても実績をお持ちですが、現役選手がセカンドキャリアの不安を解消していくためにはどうしたらいいと思いますか? 吉田:大学に行けば教員免許などいろいろな資格を取れると思いますが、高校を卒業してすぐWリーグに入ると資格がなく、後から取るのも難しいということがあると思いますし、競技をやめた後に何もない状態で社会に放り込まれてしまうと難しい部分があるんじゃないかなと思います。実際、私も高校卒業後にWリーグに入ったのでよくわかるのですが、10年、20年プレーした後に、40歳になる手前で今までバスケットしかしてない人が急に一般社会で生きていくとなったら、指導者になるか、クリニックで教えるなど、選択肢が限られてしまいますから。 もちろん、就職する道もあるとは思いますが、現役中にどれだけ準備ができるかというのはすごく大事なことだと思います。競技をやめた後の人生の方が長いわけですから。
目標はパリ五輪「バスケットができる楽しさを心から感じている」
――Wリーグでも代表でも非常に濃密なキャリアを積んでこられましたが、吉田選手にとって、今の目標はどんなことですか? 吉田:2月のオリンピック世界最終予選を勝ったことでパリ五輪に出るという大きな目標ができたので、今はそこに向かって全力でやっていきたいと思っています。所属チームのアイシンウィングスではWリーグでベスト4に入るという目標を掲げていますが、今の仲間たちと一緒に、ファイナルの舞台に立ちたいです。今はWリーグでバスケットができる楽しさを心から感じているので、見てくださる皆さんにはプレー越しに「本当に楽しそうだな」って感じてもらえたら嬉しいですし、「私もバスケットやりたい!」と思ってもらえるようなプレーを今後もしていきたいと思っています。 ――予選ではピンクのショートヘアでしたが、パリ五輪のメンバーに入ったら、どんな髪の色にしたいと考えていますか? 吉田:今はまだ何も考えてないのですが、これからメンバーに選ばれるために頑張りつつ、どんな色にするかも考えていきたいと思います。 ――最後に、それぞれの場所でバスケットを楽しんでいる選手たちにメッセージをお願いします。 吉田:私自身、大好きなバスケットを通じて、これからもいろいろな人とつながっていきたいと思っているので、今後、10年も20年もバスケットを続けていければと思っています。続けていれば、どこかで出会って一緒にプレーできる可能性もあると思うので、好きなことを諦めずに続けてほしいですし、いつか一緒にバスケットをしましょう! <了>