大学卒業後に女子選手の競技者数が激減。Wリーグ・吉田亜沙美が2度の引退で気づいたこと「今しかできないことを大切に」
女子選手が「好きなこと」を続けるために
――引退から復帰した経験を通じて、Wリーグのサポートなど、環境面についてはどのように感じましたか? 吉田:私は2回、引退と復帰をしましたが、そんな選手は今までいなかったと思います。見方によっては私の勝手なわがままで出たり戻ったり、という状況なのに、それを理解して受けてくれたWリーグは選手を大事にしてくれていると感じました。もちろん、会社やチームの理解がなければできなかったことなので、恵まれているなと思いましたし、その点はすごくありがたいですね。 ――「リーグに守られている」と思えることは安心感につながりますよね。吉田選手と同じく、2022-23シーズンに1年間の休養宣言をした現在デンソー アイリス所属の馬瓜エブリン選手も、復帰後にWリーグと代表に復帰しています。休むことで視野が広がり、競技との向き合い方が変わったことも、前に進む原動力になったのでしょうか。 吉田:そうですね。私やエブリンのように「競技を一度やめる」ことは、もちろん勇気がいることですけど、やってはいけないことではないと思います。だから、体はまだ動くけれど、しんどくて気持ち的に続けることがつらくなって「どうしよう?」と悩んだときには、「やめる」ではなくて「休む」という選択肢も持ってほしいなと思います。 もちろん、Wリーグは厳しい世界なので、一回やめたら戻れなくなるかもしれません。ただ、私の場合は休むことが自分にとってバスケットボールへの思いを再確認する大切な機会になりましたし、違う環境に身を置くことで視野が広がったり、考え方変わることもあると思いますから。 ――キャリアの岐路に立っている選手たちにとっても勇気づけられるメッセージだと思います。女性が好きなスポーツを続けていく上では、他にどのようなサポートが必要だと思いますか? 吉田:社会人は会社の理解がないと成り立たない部分が多くあるので、ぜひ会社の方にもそうした活動をご理解いただいて応援していただけるといいな、と思います。また、女性は結婚や出産のタイミングもあるので、海外のように、出産しても復帰できる環境がもっと整うといいなと思いますし、日本でもそれが普通になってほしいですよね。