65歳以上の単身女性44%が“貧困”の現実【報道1930】
昭和女子大学 八代尚宏 特命教授 「年金と言いますのは“年金保険”なんです。生活保護のような福祉ではないんです。保険契約というのは保険料払った分だけ貰えるのが本来の姿。昔はもっと酷かった。働いたら年金はもらえなかった。“年金福祉”という考えだった。でも本来の年金保険というのは福祉と関係ない。この今の『在職老齢年金』の考え方自体が間違っている…」 八代教授がそれ以上に日本の年金制度でもっとも正すべきと話すのは年金支給年齢の問題だ。 日本の年金支給開始年齢は65歳からだ。遅らせれば増額されることはアナウンスされてはいるが多くは65歳から受給する。しかし、欧米では寿命の延びに呼応するように年金が支払われる年齢が引き上げられ、現在67歳からとなっている国が主流だ。 日本は世界一の長寿国であり、年金受給者は年々増える一方だ。にもかかわらず支給開始を遅らせるのではなく、支給額を減らすという政策を続けている。 昭和女子大学 八代尚宏 特命教授 「(長寿になって原資の工面を)若い勤労世代にこれ以上の負担はかけられない。高齢者の中で何とかする。その時欧米は寿命が延びた分だけ長く働いてもらい、年金制度への負担を中立化すると…。平均寿命が70代のアメリカが67歳からなのに、日本は65歳にフィックスしたままで毎年給付額を下げて賄おうとしている。これは窮乏化案です…」 ただでさえ低い高齢単身女性の年金までさらに減るかもしれない。それなのにこのことを長年国会で議論すらしてこなかったのは何故なのかと八代教授は怒りをあらわにした。 これまでの既得権益を見直し、今の時代にフィットさせる時、当然利害の対立は起きる。しかしそれを放っておけばもっと事態は悪くなっていく。自分が生きているかどうか分からない先、将来に渡る「この国のカタチ」をどうするのか…政治が国民受けのいい政策ばかりを口にして結局借金を増やし、貧しくなってしまった日本。 たとえ耳に痛い決断であっても国民に示し信を問うのも政治家の矜持であり、実は歴史に残る政治家がやってきたことなのだ。
(BS-TBS『報道1930』11月3日放送より)
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