65歳以上の単身女性44%が“貧困”の現実【報道1930】
“ピンピンコロリ”は高齢者が度々口にする理想の最期だ。しかしこればかりは思う通りにはいかない…。 次に訪ねたのは「この団地でも私の年代は少ないよ」と高らかに話した90歳の鈴木ハナイさん。7年前に夫を亡くし一人暮らしになった。17年間社員寮の寮母として働き、自分の厚生年金が月7万円、夫の遺族年金が月7万円。 鈴木ハナイさん(90) 「私の年金は医療費・家賃・ガス・水道・電気・電話・新聞で殆どなくなっちゃう」 遺族年金のおかげで何とかやってきたが、体を壊しこの2年間に7回の手術を受けた。今も脊椎に20本のボルトが入っているという。体の自由が利かないため家の中に介助用具を買い揃えるなど出費もかさんだ。便座を高くする調整板を手に取り… 鈴木ハナイさん(90) 「こんなのでも1万円くらいするんだよ。でもこれがないとダメ…。(中略)病院は毎週。金曜日はリハビリね。木曜日は1週おきに整形外科…」 自分ひとりではできないこともあるので訪問ヘルパーにも来てもらう。リハビリと訪問ヘルパー代に月3万円はかかる。だから毎日が節約の日々だという。贅沢はできない。服のひとつも買わない。殆ど3~40年前に買った服を繕っては着ていた。布団も夫と寝ていた頃のままだという。 現役の時は寮母をしていたというが、朝3時から夜まで働きづめで子供が小さい時に遊んであげたことがなかったという。だから今子供に頼れないのだという。 鈴木ハナイさん(90) 「贅沢しないで、少しでも残していかないと今の年金だけでは老人ホームに入れない。やっぱり20万くらいかかるから…。離れて一人暮らしをする娘には迷惑かけたくない。娘の世話になりたくないと思ってる。自分が親として娘にあまりしてこなかったから…」 取材した遠藤さんも鈴木さんも決してレアケースではなく、65歳以上の単身女性の44%以上が同様の現実を負って暮らしている。 ■「『上乗せ年金』の創設が必要」 30歳で結婚し、子どもを設け、70歳で夫に先立たれ…。または30歳で結婚、50歳で離婚など様々な人生パターンごとに年金額をシミュレーションしてみると、いかなるパターでも男性に比べて女性の年金額は月に5万円前後低い。