慶大・清原正吾が球界に残した尊い「価値」 プロ入りならずも存在は伝説に
2024年秋のドラフト会議で、どんな1位選手よりも進路が注目された大学4年生と言っても過言ではないでしょう。 【動画】東京六大学選抜の4番・清原正吾がプロ選手から放った2ランホームランを見る 慶大の4番打者で、プロ志望届を提出した清原正吾。父は言わずと知れた西武、巨人、オリックスで通算525本塁打をマークした清原和博さん。母はモデルで活躍している亜希さんです。 特筆すべきは中学(慶応普通部)時代にバレーボール部、高校(慶応高校)時代にアメリカンフットボール部と6年間、野球から離れ、長いブランクを経て野球に再チャレンジしたということ。そこからブランクを感じさせることなく、4年春のリーグ戦で一塁手のベストナインに輝き、4年秋には本塁打を3発も放ったポテンシャルの高さです。 スポーツ紙のデスクはこう解説します。 「確かに我々が目の色を変えて取材の指示を出したのは、正吾選手が清原さんの長男であるから。しかし、それを抜いても6年間、野球未経験の選手が慶大の4番を打つだけで、見事なまでのニュースバリューがありますよ。日本ではどうしても『野球一筋』みたいなストーリーが好まれる。でも米国では複数の競技に臨む『マルチスポーツ』が一般的ですし、今回の正吾選手のチャレンジは、日本のスポーツ界に一石を投じる、尊い価値があるものと言えるでしょう」 ドラフトでは惜しくも指名漏れに終わりました。スポーツ各紙では、イースタン・リーグのオイシックスやウエスタン・リーグのくうハヤテをはじめ、独立リーグ7球団の計9球団からオファーが届いたと報じています。しかし正吾選手は野球競技を継続することなく、きっぱりとユニホームに別れを告げるのです。 「この決断もまた、称賛に値します。独立リーグの球団からドラフト会議で12球団に指名されるのは、そう簡単なものではない。確かに独立リーグの各球団では正吾選手が入団してくれれば、メディアは殺到し、チームの広告的価値も高まっていくでしょう。しかし茨の道であることは間違いない。ならば、自身も活躍した秋の早慶2連戦での有終の美を最後にバットを置いて、一般就職するというのも非常にスマートなやり方だと思いましたね」 むしろここで“引退”することで、その存在は語り継がれることになります。 「我々メディアが感心したのはその言葉力。頭の回転が速い学生です。どんな世界に行っても活躍することでしょう」 慶大野球部には2025年春、弟の勝児内野手が入部予定です。家族の物語は、さらに続いていきそうです。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]