サウジ「世界経済のハブ化」の現実…「金融オールスターが集う砂漠のダボス」そして“メッセージゼロ”の日本
世界中の金融人がオイルマネー・ビジネスに注目
地政学リスクどこ吹く風とばかりに世界中から金融人がサウジに集まるのは、同国でのビジネスチャンスを期待してのことだ。世界有数の同国政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)は、2兆8000億サウジリヤル(112兆円)強の運用資産のおよそ2割を国外の投資にふり向ける。PIFが株式を保有し、一時は世界一の時価総額を誇った国営石油会社サウジアラムコも代替エネルギー開発の投資を全世界で広げている。こうしたオイルマネー・ビジネスに本格的に関わっていくためにも国家行事に参加し、パイプを太く保っておく必要がある。円卓会議に勢ぞろいした金融オールスターの顔ぶれにはビジネスの計算が色濃くにじむ。 国を挙げてのオイルマネーの戦略的活用の背景にあるのが、サウジの実力者ムハンマド皇太子が旗振り役となり2016年に策定された「ビジョン2030」。クリーンエネルギー開発や製造業の育成、観光振興などを通じて脱石油依存型の経済を目指す国家計画だ。翌17年から始まったFIIはグローバル金融市場に「変わるサウジ」を訴える目的がある。会議を運営するFIIインスティチュートの最高責任者(CEO)、リチャード・アティアス氏はダボス会議の国際プロデュースにも関わった経験を持つ。FIIの戦略については「23年は12月に香港でもFIIを開催した。いつかは東京でも開きたい」と語る。今後、中国や日本でサウジやFIIの存在感が高まる可能性は大きい。
あのイーロン・マスク氏もFIIに登壇
すでに中国の上海・深圳証券取引所にサウジアラビア証券取引所の株価指数に連動する上場投資信託(ETF)が上場した。日本ではSBI系運用会社のサウジ株ETFが10月末に東京証券取引所に上場し、みずほフィナンシャルグループ系も類似商品の組成に動いている。日本市場でサウジへの投資機会を提供することにより両国の投資のパイプを太くし、「オイルマネーの運用受託や、クリーンエネルギー開発などのビジネスにつなげる意図もある」(関係者)という。 アジアだけでなく、グローバルサウスと呼ばれる新興・途上国との関係強化にも動き始めた。その手立てのひとつがAI(人工知能)だ。3日間のFIIの議論では、金融だけでなくオンライン参加のイーロン・マスク氏を含むテックの大物も数多く登壇した。サウジ主導でサウスのAIスタートアップを支援し、テックの南北格差を埋める「AIインクルーシブ」構想も発表された。
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