筋トレで痩せない“下腹ぽっこり”の原因は? 反り腰が引き起こす体のトラブル
内臓下垂による下腹ぽっこりは膣筋を鍛えて初めてヘコむ
反り腰になり膣筋が緩むと、支えがなくなり内臓が本来の位置よりも下がってくる。すると下腹が出るうえ、臓器はうまく働けず機能が落ちることに。便秘や生理痛、冷え性、むくみなどの不調が出やすくなる。 膣筋は子宮や膀胱などの内臓を下支えしているため、膣筋が緩むと内臓が骨盤内に落ちやすくなります。内臓下垂すると、下腹にあるのは脂肪ではなく内臓のため、ダイエットしても下腹はヘコみません。 内臓下垂のデメリットは、下腹ぽっこりだけではありません。内臓が本来の位置より下がり、なおかつ押しつぶされることで、動きが悪くなります。そのため、便秘になったり、生理痛がひどくなったりするなど、さまざまな不調が引き起こされるのです。 また、血行やリンパの流れも悪くなるので、老廃物がたまりやすく、冷えてむくみやすくなります。膣筋と、後述する「腹横筋」が締まると、内臓は本来の位置に復活。締めトレをすると腹横筋も刺激できるので、みるみるおなかがスッキリします。
膣筋が緩めば反り腰になり反り腰だと膣筋が緩む
膣筋は、骨盤が真っすぐ立つのをサポートしています。そのため膣筋が弱ると、骨盤は前後、左右に傾くことに。女性の骨格は、骨盤が前に倒れやすいため、膣筋が緩むと反り腰が悪化していく女性が多く見られます。 そして、反り腰でいると、膣筋に力を込めにくくなります。というのも膣筋は、呼吸をコントロールしている横隔膜と向かい合って働き、特に息を吐くときは横隔膜と膣筋が連動して引き上がるから。反り腰だと膣筋が横隔膜に対して平行でなくなるため、「吐く息で引き上がる動き」が弱まり、衰えやすくなるのです。 膣筋が弱ると反り腰になりやすく、反り腰だとさらに膣筋が緩くなる悪循環に陥るわけです。いくら姿勢改善を意識しても、膣筋が弱ければ骨盤を立てておくことはできません。まず必要なのは膣筋をトレーニングして骨盤を立てることなのです。
美姿勢で働く抗重力筋が代謝を高めてくれる
反り腰だと、横から見たとき頭、肩、腰、ひざ、足首をつなぐラインがガタガタにズレている(イラスト左)。膣筋が締まって反り腰が直ると、この5点が真っすぐそろった美姿勢に(イラスト右)。すると抗重力筋が働きやすくなり、ボディラインが締まっていく。 膣筋を鍛えると反り腰が直り、姿勢が改善します。すると、おなかまわりだけでなく、脚やお尻、背中など、気になる部分がどんどん引き締まっていきます。 それは、背筋を伸ばした美姿勢をキープすることで、「抗重力筋」が働くから。抗重力筋というのは重力に抗って体を真っすぐ保つのに働く筋肉のこと。反り腰や猫背でいるとうまく力を入れることができず、背筋を伸ばしたいい姿勢だと、バランスよく使いやすいのが特徴です。 いい姿勢を保つのに働く抗重力筋は、脊柱起立筋や大殿筋、ハムストリングスなど、体の中でも大きな筋肉です。これらの筋肉を使えるようになると、ボディラインが引き締まるだけでなく、エネルギーの消費量が高まります。これまでと同じ食事量であっても、太りにくくなるのです。
許恵(パーソナルトレーナー)