IGT法律事務所・水田修義弁護士 単独インタビュー ~ 既存プレーヤーの枠を超えた事業再生 ~
―事業再生の質にも変化が生じているということか
そうだ。今はデットの改善・処理することだけでは再生にはつながらない。手続きとしては不可欠だが、そもそもの本業がよくないケースが多い。「餅は餅屋」ではないが、本業の改善に長けた人々の関与やネットワークの活用が必要だ。(株)ワールド(※6)や(株)PROSPER(※7)のケースように、事業会社と金融関係者が組んだファンドの組成やコンソーシアムによる投資の事例も出てきており、今後はさらにこうした取り組みが進むだろう。 ※6 TSR企業コード: 662058453。アパレル大手。2023年5月、グループの(株)ワールドインベストメントネットワーク(TSR企業コード:023059362)と日本政策投資銀行の合弁会社を投資専門会社化した ※7 TSR企業コード: 695140434。2023年5月に傘下の有限責任事業組合をGP(General Partner)、金融機関などをLPとしたファンドを組成
―いわゆる「倒産村」(※8)だけで事業再生に対応するのが難しい時代に突入したように感じる
再生案件ごとに求められるスキルも人材も違う。実態として商売を知っている人たちのノウハウは必要だ。10円で売っていたものを20円、更には100円で売れるようにすることは我々にはできない。これまで「再生」という文脈で関与のなかったような人たちの力が今の時代は求められているのかもしれない。 ※8 明確な定義はないが、事業再生や倒産を主に手掛ける弁護士や会計士、コンサルなどの総称 (東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2024年8月5日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)