IGT法律事務所・水田修義弁護士 単独インタビュー ~ 既存プレーヤーの枠を超えた事業再生 ~
―手掛けた事業再生、倒産案件について
準則型私的整理から法的倒産まで代理人として数多く担当してきた。TSRに私の名前入りで報じられた案件としては、2015年に民事再生法の適用を申請した大手アミューズメント施設運営会社の(株)ザ・サードプラネット(※3)がある。拡大志向の強い会社で都内の有名ビルにもオフィスを構えるまで成長した。ただ、十分な精査なく出店を続けたので資金繰りがきつくなった。金融機関がストラクチャードファイナンス(※4)のスキームを組んでいたので、これを解体していくプロセス等もあった。ただ、多店舗型の場合は、店舗不動産にかかわる違約金などを再生債権に組み込めるので撤退戦略として民事再生は理にかなう。最終的には会社分割でスポンサーに事業承継し、現在も事業としては継続されている。 最も記憶に残っており難しかったのは鋳鋼・特殊鋼製造の企業の事例だ。韓国の製鉄大手と合弁で子会社を設立し、約200億円を投じて新設の製造工場を建設した。子会社の破産処理に伴う連帯保証債務も含めて債務整理が必要ななか、外資系リース会社との調整を含めて非常に苦労した。 ※3 TSR企業コード:432017909。2015年6月に約60億円の負債を抱えて民事再生法の適用を申請。申請後に(株)駿河管財へ商号を変更 ※4 仕組み金融。当該事業のキャッシュフローに着目したファイナンス手法で、与信が比較的多額になりやすい
―2017~2021年まで投資ファンドに出向し、コンプライアンス室長に就いた
出向先の1号ファンドの組成当時、大手企業の再生案件を外資が手掛けることが目立つようになっていた。日本の技術力や産業に対して、もう少し国内連合でできることはないかということで、大手行や政府系金融機関が中心となって1号が組成された。その後の2号ファンドの組成にあたり、LP(※5)として機関投資家から広く資金拠出を受けるので運営法人の内部管理体制の高度化が必要となった。住田先生が(運営法人の)取締役会長を務めていたこともあり、お声がけいただいた。 ※5 LP(Limited Partner)出資。投資先へ直接出資せず、組成されたファンドへの出資を通じて投資する形態