お金や学歴があってもなくてもできる「本当の親孝行」
仏教の観点から見た「本当の親孝行」とは
まもなく2024年も終わろうとしています。年末年始は実家へ帰省し、親の顔を久しぶりに見るという人も多いでしょう。気がつけば親も高齢になり、体のあちこちに不調が出始めた話などを聞くと、ふと「あと何回会えるだろうか」と寂しさが襲う瞬間もあるのではないでしょうか。 普段忙しく働き、なかなか会う機会がないからこそ、親には「せめておいしいものを食べさせてあげたい」と、手に入れにくい土産を持って帰省する人もいるでしょうし、あるいは一緒にどこかへ出かけたり、旅行をしたりと、思い出づくりにいそしむ人もいるでしょう。 ただ一方で、「親は本当にそれを望んでいるのだろうか」と思う時もありませんか。高価な食べ物や、高級旅館でのおもてなしも喜んでくれるはずです。けれども、それは独りよがりな行いなのでは? と考えてしまうことはないでしょうか。 そこで今回は、仏教の観点から「本当の親孝行」をお伝えしたいと思います。親が健在な方も、すでに亡くなっている方にもできる親孝行です。ぜひ、この機会に心に留めておいてください。 ●人間関係のすべてが詰まっている「東西南北上下」 仏教のシンガーラ経という経典の中に、六方礼経(ろっぽうらいきょう)というお経があります。ある時、お釈迦さまが外出した先で、六方向に礼拝をしていた一人の青年(シンガーラ)と出逢います。 彼の父親は熱心な信心を持った長者でしたが、シンガーラにはそれほど信心がなく、礼拝も父親に言われたからやっていたに過ぎませんでした。形式ばかりの礼拝をする彼に、お釈迦さまは六方に礼拝する意味を説いたといいます。 礼拝する六方向とは、「東西南北上下」を指し、六方とは人間関係のこと。すべての関係はここに収まります。それぞれに関わり方があり、これらを守れば良好な人間関係が築けると説かれています。 東方=親子関係 西方=夫婦関係 南方=師弟関係(先生と生徒) 北方=友人関係(会社の同僚などもここに入る) 上方=雇用関係(上司と部下) 下方=宗教者と信者の関係 例えば、親を敬う時は東を向いて礼拝します。とはいえ、やみくもに礼拝すればよいのではなく、どのようにして親を敬うのか、どう親と関わっていけばよいのかも具体的に説かれています。その「親に対してなすべき5つの行為」をお伝えしましょう。