国外追放になる悪役令嬢に転生してしまった。退屈すぎる世界に新しい娯楽を作るついでに、未来を変えてやる! 『悪役令嬢の怠惰な溜め息』【書評】
小説投稿サイト発の大人気作品『悪役令嬢の怠惰な溜め息』(ほしの総明:作画、篠原皐月:原作、すがはら竜:キャラクターデザイン/KADOKAWA)。本作は、悪役令嬢に転生してしまった主人公がさまざまなアイテムを発明しながら、自分の未来を変えていく痛快ストーリーが繰り広げられる。 【漫画】本編を読む
現代社会で暮らしていたアラサーの主人公は、ある日突然6歳の幼女に転生してしまう。その身体の持ち主は、乙女ゲーム「クリスタル・ラビリンス」に登場する悪役令嬢・エセリアだった。ゲームの中でヒロインがエセリアの婚約者・グラディクトを攻略するルートに入った場合、ヒロインへの嫌がらせが原因で国外追放になってしまう。 ゲームがスタートするのは、これから10年後。それまでに一体どんな対策をすればいいのか…と悩む一方で、エセリアはこの世界の娯楽が少なすぎることへの不満を爆発させていた。確かに、いきなりスマホもゲームもない世界に転生したら、退屈さに飽き飽きしそうだ。これまでの記憶に加え、身分とお金のあるエセリアは、そんな日々を充実させるためにさまざまなアイテムを発明するべく動き出す。 オセロのようなボードゲームにはじまり、けん玉やBL小説など、次々とクリスタル・ラビリンスの世界にない娯楽を発明するエセリア。ゲームのエセリアと違い、幼いうちにたくさん発明すればルート(人生)が変わるのではないかと考えていたのだ。そうした打算もあり、教会を巻き込んだ銀行の設立にまで乗り出したエセリアは、優秀すぎる貴族令嬢として社交界にその名を轟かせていく。その結果、王族にまで注目され、シナリオ通り王子グラディクトとの婚約が内定してしまった。 優秀なエセリアと婚約できたからこそ、王太子になることができたグラディクト。しかし、誰からも高く評価されるエセリアに対し、グラディクトは劣等感を膨らませていくことに。すべてにおいて自分の婚約者の方が上なのだから、歪んだ感情を抱いてしまうのも仕方がない…。そして、ゲームのシナリオが開始されるヒロインの入学まであと1年を迎え、物語は大きく動き出す。 はたしてエセリアはグラディクトとの婚約を解消し、シナリオから逃げ切ることができるのか。自由で制限のない生活を手に入れるために突き進む、エセリアの学園生活の行方は――。3巻まで刊行されている原作小説『悪役令嬢の怠惰な溜め息』(篠原皐月:著、すがはら竜:イラスト/KADOKAWA)とあわせて、楽しんでほしい。 文=ネゴト / 押入れの人