戸田市の不登校生の居場所づくりが子ども・保護者・教員にも好影響。教室でも保健室でもない”学びの場”、高校内に中学生向けの支援教室など
専任の職員は基本的に1名だが、校長、教頭、教育相談担当の教諭、各児童が在籍するクラス担任が訪れる。学業面で不安な児童も気軽に相談ができるし、オンラインで自分のクラスとつなぎ、リアルタイムで授業を受ける児童もいる。例えば「国語だけなら教室で受けられる」「体育なら参加できる」と、その都度、児童一人一人に合わせた時間割で過ごすことも可能だ。 似た悩みを持つ異学年の児童が過ごすからこその、良い影響もある。 「6年生が自然と低学年のサポートをすることもあります。それが6年生本人の自信につながったり、逆に低学年は高学年に優しくしてもらったことで、学校が安心できる場所になったりしています」(菊地さん)
さらに、これまでは小学校のみだった戸田型校内サポートルーム「ぱれっとルーム」を、今年(2024年)秋から中学校にも拡大。「きゃんばすルーム」という名のサポートルームを設置した。 中学校では、学習に対する不安が不登校のきっかけになりやすいため、学習支援についても積極的に各学校が取り組んでいる。 「まだ始まったばかりですが、学習に対する不安を和らげ、自信を付けたり、社会的自立につながることが期待されています」(菊地さん)
学校以外の居場所でも学びの時間を持つ選択肢
もちろん、学校以外での学びの場を選択する児童・生徒もいる。 そのひとつとして、戸田市役所隣にある教育支援センター内にある「すてっぷ」と、戸田市西部福祉センター内にある「西すてっぷ」がある。それぞれ、不登校支援に知見のある民間企業に委託しており、民間企業のノウハウを活かして個別に対応をしている。 取材時に訪れた際も、若いスタッフと数人の児童・生徒が社会科の勉強中だった。同じ教室内にいても、英語の自習をしている生徒もいるなど、学校とはまったく違うアプローチがされている。
「常時3名ほどのスタッフがおり、おのおのにあったペースで過ごしています。スタッフは、お兄さん、お姉さんのような20代から、定年退職した元・教諭のベテランまで幅広い。学校とはまた違う、親しみやすい雰囲気で接しています。『西すてっぷ』には、施設内に図書室があるので、そこで過ごすこともあります。料理室があるので調理の時間もあり、施設で行われる地域のお祭りを手伝うなど、これまで接点のなかった人と関わる機会もあるんです。一方、『すてっぷ』は、市立図書館で読書したり、体育施設に運動をしに行ったりするなど、体験的な活動にも積極的に取り組んでいます」(戸田市教育センター所長の伊藤和三さん)
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