【独自取材】「藤井聡太さんしか見ていない」王座戦・挑戦者 永瀬九段が語る ”尊敬する棋士”藤井七冠への想い「人生は年齢ではないことを、間近で見せてくれる存在」一人称を”私”に変更したその理由…
「永瀬九段自身も、”私”というようにしているんですか?」という質問に対して、「いうようにしていますね、藤井さんが言わなければ絶対言いません、藤井さんがそういうのであればという感じですね」「藤井さんが僕というなら僕にします」「藤井さんは一つ一つ、配慮や考えがあってされる方なので本当にすごいんですよね」と答えた永瀬九段。 藤井竜王・名人は現在22歳、永瀬九段は31歳(9月5日が32歳の誕生日)。年齢はひと回り近くも離れているわけだが、見習うところは多く、尊敬してやまないのだという。 「藤井さんを見ていて思うのは、年齢はただの数字なんだなと。藤井さんは20歳と少しなわけなんですけど、本当に敬うところしかなくて」 「この世界、先に生まれた方を先輩とかという言い方になるが、本当に敬うところしかない、見習うところしかないわけなので」 「人生は年齢じゃないんだというところを、間近で見せてくれている存在かなと思う」 藤井七冠への溢れ出す想いを、インタビューで語り尽くしてくれた永瀬九段。圧倒的尊敬の念を抱く藤井竜王・名人へ彼はどう挑んでいくのだろうか?
研究の鬼・永瀬九段が勝負をかける“序中盤”
「今まで技術論のみに注視していたんですけど、最近は私がトップ層の中で かなり精神的にもろいのがわかりました」 「今はバランス良くできるタイプではないので、精神的な強さを身につけないといけないなと。自分と向き合うことで、そういうもろさを少しずつ改善できたらと思っています」 2024年7月22日の王座戦挑戦者決定記者会見、永瀬九段は力強い口調で語った。 去年の王座戦での終盤でのミスは、精神的な“もろさ”からきたとみているのかもしれない。メンタル面も鍛えつつ、重要となるのが作戦面だろう。 藤井竜王・名人が最も得意とする戦型が「角換わり」。「角換わり」とは、序盤に角を交換してから駒組みをすすめる戦法のこと。その角換わりについて、6月に話を聞いた際、永瀬九段はこう話していた。 「私と藤井さんの角換わりそんなに差がないんですね。ただ藤井さんが勝っている部分多くはあると思うが、他の棋士と比べるとすごい差はない」 「藤井さんの先手角換わりの勝率は高いんですけど、本来はもうちょっと相手の棋士が頑張るべきと個人的には思っている」 「もう少し角換わりの対策をしっかり相手がされていれば、勝てるんじゃないかな。少なくとも私ぐらいの棋力で対策と時間をかければ、角換わりに1万時間とか2万時間とかければ、いくらなんでも勝負になるのかなとは思うんですけど」 ”研究の鬼”として知られる永瀬九段。そのストイックな姿勢から、”軍曹”とも呼ばれている。