59歳会社員「退職金はありません、定年後の住宅ローンが不安です…」【月間ヒット記事】
ライフステージの変わり目である50代後半から60代前半は、子育てにかかるお金も終盤を迎え、老後への準備にスパートをかけたい時期です。ただし、住宅ローンの返済が大きな負担になっている家庭も多いようです。 【画像】住宅ローン残高どのくらい?
50代・60代が抱えている住宅ローン残高どのくらい?
「知るぽると」の愛称で知られる金融広報中央委員会が行った「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)(令和5年)」には、年代や年間収入別の住宅ローン残高が示されています。 以下の図表は、「借入金がある」と回答した世帯主の年代のうち、50代と60代が抱える住宅ローン残高になります。平均値と中央値の金額に300万円-600万円ほどの大きな差が見られますが、外れた値の影響を受けにくい中央値を参考とするのが妥当でしょう。意外と少ない金額だと個人的に感じるところではありますが、住宅ローンの残債がある人はご自身の残債と比べていかがでしょうか?
次に世帯主の年齢の枠を外し、年収別の住宅ローン残高を見てみましょう。年収が上がるに応じて残高も多くなっています。日頃、筆者の元へ住宅ローンの相談に来られるのは50代後半から60代前半の方々ですが、以下図表内の平均値は肌感覚に近いところです。ローン残高に不安を抱え、誰かに相談したいという考えに至るのであろうことがデータ上から推察されます。
住宅ローンの返済負担を減らすにはどうすればいい?
退職金で住宅ローンの一括返済を考えている人もいるでしょうが、退職金がない場合はどうしたら良いのでしょうか。定年後の住宅ローン返済に不安を抱えているAさんの事例を元にお話ししたいと思います。 まもなく59歳になるAさんは会社員。60歳で定年後は65歳になるまでは継続雇用で働く予定ですが、年収は現在の600万円から2割減の480万円になりそう、とのこと。住宅ローンの残債は約1400万円、返済は72歳まで、60歳からは固定期間の終了に伴い金利は3%に上がり、返済額は月1万円ほど多くなります。預貯金は200万円ほど、iDeCoとNISAで600万円ほどを運用、年間収支で余った分はすべてNISA口座に入れて老後資金の備えを加速させています。繰上げ返済に資金を当てるのは厳しい状況です。 Aさんに限らず、一般的に定年後に住宅ローンが残る場合、60歳時の残債を確認してから、以下の対策を検討するのが適切と筆者は考えています。 ・全部or一部を繰り上げ返済 ・低金利のローンへ借り換え ・売却益あれば持ち出しなしの買い替え ・なるべく長く働く ・リバース60など利用 「繰上げ返済以外で検討」することになったAさんですが、1ヶ月が経った頃に再び面談を行いました。