空前絶後3,000人のお引越し大作戦、“昭和”なオフィスからの脱却がおじさんたちを“呪縛”から解き放つ?
■オフィスの変化がおじさんを“スーツの呪縛”から解き放つ? グループの一体感も生まれた
だが、こうした不満が吹きだすのも、実際にトライアルしてみたからこそ。出てきた問題点をA・B区画では改善し、2巡目に入るころには様々な変化が生まれた。中でも不評だったフリーアドレスが、意外にも若手と年配層両方の意識を変えることになったという。 「若い社員は比較的順応は早かったのですが、目の前に上司がいないことで、まめに“報連相”を行う、結果を出すなど自立した行動の必要性を自覚したという声が寄せられています。一方で年配社員は、部下や若い社員が順応していく姿を見て、これから長く働く若い社員のため、会社のこれからのために必要だったと、多くの方が認識した印象です。その結果、2巡目のトライアルでは、フリーアドレス(グループアドレス)でどうチームビルディングするか、前向きに検証いただけていますね」(春日さん) また、副次的なものではあるものの、とくに管理職や年配社員には興味深い変化が起こった。“服装の自由化”が進んだことだ。 「新宿オフィスでも服装の自由化は導入されていましたが、なかなか浸透していなくて。どうしても、“島型オフィスでスーツに白シャツ”という形から抜け出せなかったんです。それが、オープンな雰囲気のトライアルオフィスに来てみたら、なんだかスーツだと浮いてしまう、ポロシャツやTシャツの方が馴染む…と。それで『スーツを脱いでみよう、形から変えてみよう』という人が増えた気がします。役員もスーツではない日が多いので、それを見て年配の社員もカジュアルな服装で来られる方が多くなりました」(林田さん) まさか、オフィスの変化がおじさんたちを“スーツの呪縛”から解き放とうとは…。もちろん、それ以外の懸念点「グループの一体感の創生」にも、フリーアドレスは寄与した。 「フロアが多数階に分散していた新宿と違い、執務空間を共有することによって、今までWEB会議のアイコンでしか見たことのない人に実際会ったり、働きぶりを見聞きできるようになったという声が非常に多くあがっています。顔見知りが増え、組織を超えた協業が必要になる際にスムーズになったとの意見も聞かれました」(橋本さん) フリーアドレスというと、とかくベンチャーやIT、外資系の企業に向くと考えられがちだが、同社の話を聞いていると、大企業や歴史ある企業においてもメリットは非常に多いことがわかる。