「両者の溝の根底にあるのは…」バスケ八村塁(26)がパリ五輪で起こしたホーバス監督との“ハイタッチ拒否事件”の真実
エースの言動で、日本バスケ界が揺れている。 発端は11月5日、日本バスケットボール協会(JBA)が男子日本代表のトム・ホーバス監督(57)にロス五輪まで指揮を任せると発表したことだった。すると、八村塁(26)が会見でホーバス批判を繰り広げたのだ。同28日には日本代表で元NBAプレーヤーの渡邊雄太(30)が事態収拾のためにメディアの前に登場。2人の関係が悪化し、関係修復に努めていることを明かした。 【写真】10月に開幕した今シーズンもレイカーズでは絶好調の八村だが、和解の光は見えない 両者の間に溝が生まれたのが、八村が不参加だった昨年のW杯後の記者会見。ホーバスの「(八村が代表に参加したいなら)彼から声をかけてくるべき」という一言が切り取られ、それを知った八村とそのエージェントが激怒した。
「八村がホーバスとのタッチを拒否したのでは?」
その後のJBAの対応も杜撰だった。関係修復を求められていながら、パリ五輪での練習方針やスケジュールに関する互いの意向を双方に正確に伝えず、2人の仲は悪化したという。 パリでは、不仲を象徴する出来事も起きていた。 「八村がホーバスとのタッチを拒否したのでは?」 関係者や熱心なファンからこんな声があがったのは、日本が死闘を演じながらも4点差で敗れたフランス戦でのこと。試合開始直前、先発の選手がベンチから出て行くタイミングで、八村だけホーバスとハイタッチをしなかったのだ。
「タイミングがあわず空振りしただけ」「意図的だ」と真っ二つ
このシーンを巡り、ファンの見解は真っ二つに。「タイミングがあわず空振りしただけ」と擁護する意見。そして、八村が所属先のレイカーズで過去に意見のあわないヘッドコーチとのタッチを拒否したことがあることから「今回も意図的だ」との意見である。その後の騒動を見れば、後者が正解だったといえよう。 両者の溝の根底にあるのは、バスケ観の違いだ。 八村はNBAのドラフト1巡目で指名された初めての日本人選手。NBAは超人的能力を持った選手が強烈なエゴを武器に戦う個人技重視の舞台で、八村もエゴを身につけてスターになった。一方、東京五輪で女子日本代表に銀メダルをもたらしたホーバスはアメリカ人だが、チームワークを重視。「スーパースター不在でもスーパーチームはつくれる」が信条だ。2人のバスケ観は相容れない。 今後、日本代表はどうなるのか。八村の意向を受けて指揮官との契約を打ち切れば、組織の秩序は崩壊。多くの選手がホーバスの手腕を高く評価している事実もある。だがホーバス体制が続くなら、その手腕を徹底的に批判した八村が代表に選ばれる可能性は低い。 どんな決定をしても、茨の道が待ち受けている状況は何とも悲しい。
「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年12月12日号