「笑顔で終われたと思います。本当に」さらば大田泰示…巨人→日ハム→DeNA、永遠の野球小僧は大舞台に無縁でも「日々を一生懸命やり切った」
各球団が戦力を再編する季節。ベイスターズでも一人の好漢が今シーズン限りでバットを置いた。大田泰示。ジャイアンツのドラフト1位、しかも背番号55を託されるという重圧の下で始まったプロ生活。決してずば抜けた成績を残せたわけではない。それでも笑顔で終われた野球人生を語り尽くしたNumberWeb独占インタビュー! 〈全2回の1回目/つづきはこちら〉 【写真】「ヨコハマサイコー!」DeNA、日ハム、巨人…大田泰示の歩みと今季日本シリーズの横浜の躍動を写真で見る 陽光ふりそそぐ冬の青空のもと、濃紺のスーツに身を包んだ大田泰示は、16年間のプロ野球人生が終わったことを実感していた。 「これからの仕事に関してジャイアンツの方と打ち合わせをしたり、新たな目標ができたというか、次のステージに向かっているなといった感じではあるので、ああ、引退したんだなって」 その表情には寂しさはなく、新たな道を歩む人間ならではの好奇心に満ちていた。これから大田は、古巣の巨人が運営する『ジャイアンツアカデミー』の指導者として第二の人生をスタートさせる。
プロ野球人生に後悔はない
11月18日の引退会見の際、大田はその席上で「後悔はない」と言い切った。決してずば抜けた成績を残せたわけではなかったが、とにかく毎日、誠心誠意野球に向き合えたことが自分の誇りだ。 「苦しんだし、きつい時間もあったし、しんどいことも多かったけど、トータルで考えてみれば、日々一生懸命できたところは自分でも評価してもいいのかなって」 大田はそう言うと静かに微笑んだ。 10月1日、所属する横浜DeNAベイスターズから契約を更新しないことが公式発表された。9月下旬に球団から大田に電話で連絡があり、その翌日DOCK(ファーム施設)で直接伝えられたという。
“ノンテンダー”のときとは違う心境だった
「まだ残りの試合もあるしファームの優勝も掛かっていた時期だったので、気持ちの整理をつけるのが難しい状況ではありましたね」 ファームでは42年ぶりのイースタンリーグ優勝に向けシビアな試合の連続だった。大田も戦力の一人として率先してチームを盛り上げていた。 「でも、やっぱりシーズン中から……気持ちの準備は少なからずしていたので、伝えられたとき少しショックは受けたけど、衝撃ってほどではなかったんです」 2度目の自由契約。3年前は北海道日本ハムファイターズからその旨を伝えられ、当時は“ノンテンダー”と話題になったが、あのときとはやはり心境は違ったという。 「ファイターズのときは、調子も良かったし成績も残していて、自由契約になったシーズンは結果が出ずノンテンダーになったけど、プライドもあったし、まだまだこれからってタイミングだったので衝撃が大きかったんです。けどベイスターズの場合は、まわりを見渡しても年代的に同じような境遇の選手が増えてきたので、そういう時期が来たのかなって。若い選手ならまだしも、今季の僕の成績では厳しいだろうなとは思っていましたから」
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