元世界王者・比嘉大吾がジム移籍&バンタム級再出発を発表…井上尚弥との夢対決プランも「まだ対戦はイメージできない」
しかし、“参謀“の野木トレーナーは、「スーパーフライ級時代からいつかやるかもしれないと考ええていた。(井上尚弥が)バンタムに留まるなら、どういう風に戦うかは頭の中で考えている。3、4戦やってみて、少なくとも世界タイトルを持っていないとできない。それが(挑戦)資格」という夢プランを明かした。 そして「この2か月合宿みたいに練習してきた。きつかったと思うがボクシングセンスは普通じゃないと思った。新しい階級でも世界を取れると思っている」と続けた。 現在、空いているバンタム級の世界ベルトはWBCとWBOの2つだが、WBO世界同級王者のジョンリエル・カシメロ(フィリピン)は、井上尚弥と3団体統一戦を4月25日に米国ラスベガスで行う予定が組まれていた。新型コロナウイルスの影響で延期となったが、現在、再交渉がもたれており、実質、狙えるのはWBCタイトルしかない。WBC王者は、井上拓真(24、大橋)を統一戦で下したノルディ・ウバーリ(フランス)で次期挑戦者には、井上尚弥と激闘を演じた“レジェンド“ノニト・ドネア(フィリピン)が有力視されている。 いずれにしろ比嘉がモンスターとの試合を実現するための標的は強敵となる。 さらに一気に2階級をあげたことから起こりえる階級の壁もクリアしなければならない。フライ級では、飛び抜けたパンチ力で15連続KOの日本タイ記録を作ったが、バンタム級に上げて、その一撃必殺パンチが、そのまま通用するほど甘くない。だが、野木トレーナーは、比嘉のバンタム転向を成功させる戦略を用意していた。 「若干のスタイル変更は考えている。大吾の骨格は、上半身はバンタムの中でも大きい。参考にしているロールモデルは、ローマン・ゴンサレス。スーパーフライ級に上げて肉体的アドバンテージがなく2試合続けて負けた。あれほどの選手でも階級の壁が存在する。ロマゴンがつまずいた要因を参考にして、何が足りないかを考えてやっていかなくてはいけない」 2月にWBA世界スーパーフライ級王者に返り咲いた4階級制覇王者のローマン・ゴンサレス(ニカラグア)が、転級の当初は、壁にぶちあたり、シーサケット・ソー・ルンヴィサイ(タイ)に連敗したケースを反面教師にしたという。具体的には「一発で決めようとしすぎていた」「密着戦で押し負けていた」の2点に注目。比嘉には、バンタム級スタイルへのマイナーチェンジを求める。 「あくまでもコンビネーションの中で狙うスタイルにしたい」 比嘉自身も「それはわかっています」という。
バンタム級転向の試運転を兼ねて、本格化する世界再奪取への道は「年内に2試合」の予定。新型コロナウイルスの影響で、まだ具体的な試合予定は立てられないが、早ければ9、10月に移籍第1戦を行い、2戦目は年末を想定している。 「世界王者になるのは難しいと思うが、もう一度なって、沖縄が盛り上がれば嬉しい」 比嘉は、故郷、沖縄への熱いメッセージでオンライン会見をまとめた。(文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)