計量失格で資格停止の比嘉大吾が約2年ぶり復帰戦TKO勝利も現役続行白紙の衝撃発言…具志堅会長は困惑。その真相とは?
世界戦で計量失格して無期限資格停止処分を受けていた元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(24、白井・具志堅スポーツ)が13日、東京・後楽園ホールで、2階級上のバンタム級より1ポンド重い119ポンド(53.80キロ)契約でノンタイトル8回戦に臨み、フィリピン・バンタム級11位のジェイソン・ブエナオブラ(25)からボディ攻撃で2度ダウンを奪い、6回2分25秒TKO勝利した。1年10か月ぶりの再起戦をTKOで飾ったが、試合後、比嘉は「闘争心がない。この先どうするかわからない」と現役続行白紙とも取れる衝撃発言。具志堅用高会長も困惑し「心を磨き自分で立て直すしかない」と話すなど、再起を果たしたものの、今後の世界王者復帰へ向けての道筋は不透明になった。
ブランクに苦しむもボディ攻撃で決着
後楽園ホールに立ち見が出たのはいつ以来だろう。沖縄からは約250人の大応援団が駆けつけた。メインに日本ライト級王者、吉野修一郎(三迫)のチャンピオン・カーニバルの防衛戦の好カードが組まれていたことも手伝って、発表された観客は2005人。具志堅会長が現役時代に使っていた雄大な入場曲「Conquistador」(征服者)で比嘉が花道を入ってくると、張り裂けんばかりの大声援が響く。だが、比嘉は、どこか醒めていた。 「リングに入るまでは楽しかった。あんなに人がいるとは思わなかった。これまで世界戦では負ける怖さや緊張感があった。でも今回は何もなかった。こんな気持ちは初めて」 場内を見渡して知り合いを見つけ合図を送っていたが、それも「緊張感のなさ。それくらい試合と思っていなかった。自分に情けなさを感じた」という。 ガチガチだった。サウスポーのフィリピン人を相手にガードを固めて強引に距離をつめて一発を狙うが、パンチは、ことごとく空を切る。 「(懐への)入り方を忘れていた。うまくいかなかった」 前へ出てプレッシャーはかけるが、2ラウンドには足が揃ったところに左のカウンターを浴びてバランスを崩すシーンも。具志堅会長は「リズムよ、リズム」とアドバイスを送った。 これが1年10か月のブランクなのだろう。インサイドに入りながらも自分の距離を作れない。4ラウンドにようやく“勘“を取り戻し、左フックからショートの右ストレートがヒット。ロープに追い詰めて見せ場を作った。フィリピン人をグロッキー寸前に追いこんだが、トドメの一発が当たらない。しかも、ここでエネルギーを使いすぎたのか、スタミナ切れが顕著に。 「倒そうという気持ちはあったが、体力は逆方向。パンチは見えていたが、体がついていかなかった」 それでも元世界王者の意地と本能があった。6ラウンドに至近距離から右のボディを叩き込み、一度目のダウンを奪うと一気にたたみかけて再び右のボディブローが炸裂。フィリピン人が、その場でしゃがみこむと、レフェリーはTKO勝利を宣言した。 2018年2月4日のモイセス・フェンテス(メキシコ)戦以来の勝利にも比嘉は表情を曇らせていた。コーナーに戻り肩で息をした。 リング上の第一声が「疲れました」。そして、衝撃の告白を行った。