“棄権”負け比嘉は当日計量後に体調が急変。試合は中止にすべきだった?!
ボクシングのダブル世界戦が15日、横浜アリーナで行われ、WBC世界フライ級タイトルマッチでは、計量失格により王座を剥奪された比嘉大吾(22、白井・具志堅)が9回TKOで、同級2位のクリストファー・ロサレス(23、ニカラグア)に敗れた。具志堅用高会長が決断しての棄権だった。ロサレスが新王者に、そして、比嘉はプロ16戦目で初黒星。途中棄権するような危険な試合をするべきだったのか。 見ていて悲しくなった。こんな感情を抱き取材する世界戦は初めてだった。 8ラウンドの終了ゴングを聞いた比嘉はよろめくように戻るコーナーを間違えた。 明らかに憔悴していた。コーナーで比嘉のこめかみあたりを野木トレーナーがマッサージしながら具志堅会長に何かを言った。その最中に途中採点が読み上げられた。76-76が1人で2人が77-75、79-73でロサレスを支持。逆転不可能なポイント差ではなかったが、具志堅会長は、この採点を聞き棄権の意思を固めたという。 9ラウンドが始まり比嘉のパンチが出ない。ロサレスが一方的にパンチを浴びせる。 「勝利の確信を得たのは、9ラウンドが始まって比嘉がまったく手を出してこなかったところだ」 ロサレスが比嘉の異変を感じとったとき、具志堅会長は、スタスタと本部席に歩み寄り、JBCの安河内剛事務局長に「もう無理です。止めます」と伝えた。 安河内事務局長は、慌てて赤コーナーの下にかけつけインスペクターにレフェリーに棄権を伝えるように指示した。インスペクターがエプロンに上り、レフェリーの肩を突いて両手を交錯させた。安河内事務局長は、最悪の事態を懸念して「WBCルールではタオルは投げられないので棄権の意思表示には気をつけてください」と具志堅会長に伝えておいたため、異例の手順での棄権によるTKO負けとなった。 比嘉は、野木トレーナーに肩を抱えられ医務室へ直行した。控え室に戻っても、ずっと扉は閉ざされたままだった。比嘉は泣きじゃくり、「ごめんなさい」と声を絞り出したという。具志堅会長は涙の止まらない愛弟子の健闘を「心配するな。よくやった」と称えた。 やってはいけない試合だったーー。