ダークパターンとは何か? Web担当者がユーザーを惑わさないために知っておきたい7分類
ダークパターンがなぜ生まれるのか?
現実として、ダークパターン的なWebサイトは多数存在する。そもそも悪意をもって自社サイト内にダークパターンを埋め込む事業者がいるのは確かだ。こちらはもう、法などの手段をもって取り締まるしかない。だが、その一方で、無自覚にダークパターンを生み出す一般事業者がいると、長谷川氏は警告する。では、なぜ悪意のない事業者がダークパターンを生んでしまうのか?
研究によれば、ダークパターンが生まれてしまう要因には、次図のような3つのトレンドがある。
■ 1. 小売業における欺瞞的な慣行
次図にあるように、EC台頭前から、商品の売価を100円ではなく、たった2円安い98円にした方がお得に感じる「サイコロジカルプライシング(心理的な価格付け)」のような手法はよく知られている。ちなみに「1,999円」と「1999円」(カンマなし)でも、消費者側の受け取り方は変わる。
┌────────── いつもやっている閉店セールもそう。しかし消費者側も、毎回目くじらを立てていてもしようがないと、許容してしまっているのが現状です。こうした手法は、ビジネス上のテクニックとして、むしろポジティプな施策として事業者側に広がっています(長谷川氏) └────────── ■ 2. 公共政策における「ナッジ」
ナッジとは、行動経済学の知見を用いて、デザイン上のテクニックによってユーザーに行動変容を促す手法のことだ。一例としてあげられたのが、欧州における臓器提供意思表明率の差だ。オーストラリアでは99.98%と高い一方、デンマークは4.25%。同じ欧州でも極端な差がある。
この違いは国民性や世論の問題ではなく、臓器提供意思の表明がオーストリアではオプトアウト方式(提供しないならチェックを入れる)、デンマークではオプトイン方式(提供するときは書類にチェックを入れる)という、書類の表記の差の反映だと考えられている。どのような設問・選択肢を用意するかで、人々の意思表明の傾向は変わってしまう。 我々は、重要な判断をすべきときにわからない場合は先送りにしてしまう傾向(デフォルト効果)がある。そのため、チェックボックスをそのまま放置してしまいがちだ。このデフォルト効果を利用すると、文言をわかりにくくしてチェックボックスにチェックしておけば、チェックしたままになる可能性が高い。 こうしたナッジのテクニックは、公共分野ではある程度許容されているが、それを悪用したダークパターンも存在している。また、ナッジの公共分野での利用が憲法に適合しているのか、疑問視する声もある。 ■ 3. デザインコミュニティでのグロースハック