【Q&A】「不起訴」って何?
検察官は、事件捜査の結果、裁判所での審判を求める場合に容疑者を「起訴」(公訴提起)することができます。一方、検察官は公訴を提起しないことを選択することもあります。これが「不起訴」です。では、どのような場合に不起訴となるのでしょうか。法務省・検察庁の公式サイトなどを基に解説します。
Q:まず「起訴」を教えて。
検察官は、警察官、海上保安官、麻薬取締官などが捜査した内容を精査し、供述や証拠などから容疑者が罪を犯したと判断した場合に起訴することができます。 起訴には、公開法廷で裁判することを求める「公判請求」と、法廷を開かず簡易的な裁判手続きを求める「略式命令請求」があります。報道では前者を「起訴」、後者を「略式起訴」と言います。
Q:不起訴とは?
検察官が容疑者を起訴しないことです。 捜査の過程で罪を犯したという嫌疑(けんぎ)が認められない場合(=嫌疑なし)、ないし、犯罪をしたと認定するに足る証拠が不十分な場合(=嫌疑不十分)などは分かりやすい例でしょう。
Q:他にはどんな時に不起訴になるの?
例えば、捜査途中で容疑者が死亡した場合や、犯罪時に心神喪失であり責任能力が認められない場合などは不起訴になります。また、起訴するうえで被害者の告訴が必要となる親告罪で被害者側が告訴を取り下げた場合にも同様です。
Q:起訴猶予ってどういうもの?
犯罪を行った疑いやその証拠が十分にあるものの、検察官の裁量で起訴しない処分を指します。容疑者の年齢、境遇、犯罪の軽重、犯罪後の状況などがその判断材料となります。
Q:検察官の不起訴判断は絶対なの?
検察官が不起訴とした事件で、検察官の判断に意義がある場合、被害者や告訴・告発人から検察審査会に申し立てることができます。検察審査会では、20歳以上の有権者からくじで選ばれた11人が非公開で審査します。 検察審査会では(1)不起訴相当(不起訴は妥当)(2)不起訴不当(さらに捜査すべき)(3)起訴相当(起訴すべきである)――のいずれかを議決。(2)か(3)が議決された際には検察官が再び捜査します。 「起訴相当」の議決に対し、検察官がそれでも起訴しなかった場合は、検察審査会が2度目の審査を行います。ここで改めて審査員11人のうち8人以上が「起訴相当」を議決すると、地裁が指定した弁護士が検察官役となり、強制的に起訴する流れになります。これを「強制起訴」と呼びます。この仕組みは2009年に導入されました。